少佐のお気に入り ver.ヒノミヤ ２
ヒノミヤの可愛いご主人様は、こんなところも可愛らしい。
「じゃあ、舐めさせてもらおっかな」
「舐め回すのもや・・・っ」
最後までは言わせず、べろりと中心を舐め上げた。
もう、わずかに力を持っていたそれは、ひくりと震えて力を増す。
そうしてその根本から、つう、と後ろへと舌を這わせると、じたじたと暴れた踵が背中に落ちた。
「にしやがる・・・」
「舐め回すな！」
「じゃあどうしろってんだよ」
まったく、と、全く言うことを聞かない猛犬は、そのまま主人の脚を掴み、ぐいと開いて恥ずかしい場所を晒させた。
それはそれで嫌らしい兵部の腰が跳ね、赤みの差した目元がきつく睨む。
正直、ヒノミヤとしてはもっと舐め回していたいのだけれど、無効化能力のなくなった今、焦れた兵部の相手をまともにする自信はまったくない。
なら、さっさと夢中にさせてしまうに限るのだ。
・・・まあ、俺にガマンが利かねえってのもあるんだけどな。
眼下には、大きく開かれた脚の間、秘所をひくつかせた兵部のいやらしい姿。
早く、突っ込みたくて仕方がない。
「大人しくしてろよー」
「誰が！」
「お前」
言いながら、いつもそこにあるローションを側の棚から掴み取り、ヒノミヤはそこにだらりと垂らす。
「っ！」
男相手は兵部が初めてだが、濡れないというのは厄介だ。
しかし、こうして潤わせてやれば、この体は、すぐに受け入れる器になる。
「んっ・・・やく」
「へいへい」
「返事はいっか・・・いン！」
減らない上の口とは対照的に、兵部の下の口は可愛らしい。
素直にヒノミヤの指を飲んで、もっとっもっとと絡み付いてくる。
「んっ・・・ふぅ・・・ん」
指一本で気持ちよくなる体は、それを増やしてやれば当然悦ぶ。
兵部の準備をしてやりながら、その媚態でヒノミヤの準備もできていく。
「もう、いいか？」
下肢の張りに我慢できなくなり、一人で気持ちよくなっている兵部に問えば、喘ぎに混じって、「聞くなよ、減点」の答えが返ってきた。
「しょうがねえだろ、真木さんじゃねえんだから」
兵部のあれやこれやを知り尽くした男なら、聞かずともわかるのだろうが、生憎ヒノミヤはその域には達していない。
しかも兵部はヒノミヤの腰に足を巻き付けながら、とろけた瞳でニヤリと笑った。
「真木も聞いて来るけどね。てゆか、聞かなきゃ蹴る」
「どうしろってんだ・・・って、脱げねえから止せ」
兵部はそのままきゅうきゅうと腰をすり付けて、ヒノミヤのカーゴパンツをローションでべとべとにしてしまった。
「さっさと脱げよ。乗られたいか」
「だーかーら、ちょっと足離せって」
じゃれ合いながら、なんとか引っ張りだしたヒノミヤのものは、もうすっかり大きくなっていて。
兵部は嬉しそうに喉を鳴らした。
ごちそうを前にした猫科の猛獣のような視線に晒されて、恐ぇなあと思いながらも、それもヒノミヤの興奮に繋がった。
兵部の脚を掴み上げ、ひたりとそこに押しつければ、綺麗な体がふるるとわななく。
そのままぐうっと押し込めば、可愛らしい声と共に、気持ちのいいそこが、ぬうっとヒノミヤを飲み込んだ。
「あ、ああ・・・・っ」
「・・・っ」
兵部の中は気持ちがよくて、すぐに出してしまいたい気持ちと、いつまでもこの中を味わっていたい気持ちがごっちゃになって、ヒノミヤの中を駆け巡る。
「んっ、ふぅ・・・ん、あン」
兵部も随分気持ちよさそうで、ヒノミヤが腰を揺するたび、甘い声を上げてはきゅうきゅうと締め付けてくる。
兵部は快楽が大好きだ。
だから、その快楽を与えてくれる男が大好きなのだけれど。
その中でも真木は別格で。
そうして。
「気持ちいいか？兵部」
「んっ、ふっ、まあまあ、だね」
とろけた瞳でとろりと笑い、首に腕を絡めてくる仕草は娼婦のそれだが。
すりすりと懐いてくる仕草は、まるで小さな子供のもの。
こんな顔を見せてくれるってことは、俺も悪くはないんじゃないかな、なんて。
「こら」
思っていると、べちんと頭を叩かれた。
「よそ見すんな」
「してねえよ」
言いながら、絡みつく中で深くしてやると、「ひんっ」と可愛い声が上がった。
「お前抱いててよそ見とか、できる訳ねえだろ」
言って、答えが返る前に、激しく腰を動かして。
ヒノミヤは、その愛しい体をたっぷり、愛した。
ちょっと、気に入られてるくらいでもかまわない。
今、兵部を抱いているのはヒノミヤなのだから。
二人分の精液でべったりと下肢を汚し、しどけなく横たわる兵部を見下ろして、ひとつ唸ったヒノミヤは、思わず口を開いていた。
なんとなくこう・・・言わずには、いられなかったのだ。
「えーっと。真木さんごめんなさい」
今ここにはいない、尊敬する苦労人に謝れば、当の兵部はそれを軽くせせら笑った。
「僕がシたい時にいない真木が悪いんだ、謝るこたないさ」
その身勝手な物言いに、ヒノミヤがげんなりしたところで。
「それに大丈夫だろ、おまえ、相当真木に気に入られてるんだし」
えええええ。
「そうは思えねぇけどなぁ」
正式に（？）名誉会員になった後も、やたらめったら睨まれるし。
たまに帰ってきても、いろいろと用事を言いつけられるし。
そう思い返して、ヒノミヤはなんだかもの悲しくなってくる。
俺、あの人に嫌われたくないんだけどなあ。
しかし兵部には、明確な根拠があった。
「だって、おまえだけだぜ？真木と僕と一緒にヤった奴で生きてんの」
「げ・・・」
兵部が、そうしてパンドラの連中が、時によってはとんでもなく残酷になることを、ヒノミヤはよく知っている。
特に、エスパーの子供が絡んだときの兵部と、兵部が絡んだ時の真木は極めつけだ。
「てゆか、お前はそれわかってて俺を誘ったのかよ」
「うん」
ああそうですか。
まあ、今思えばバレバレな潜入捜査官だった訳だし、そのくらいは仕方がないのかも知れないが。
「真木だって、僕が仲間だって言ってる奴をそう簡単に殺しはしないのわかってたしね」
一応のフォローが入ったが、あんまり慰めにはならなかった。
「でも、生きてる奴いないんだよな」
「一緒にやった奴はね。余所で遊んで来る分までは、さすがに手が回り切んないみたいだし」
ニイ、と笑った兵部の美貌にゾッとする。
「怖ぇなおい・・・」
しかし、だ。
「あのさ、それさ。アンタが俺のこと気に入ってくれてっから、あの人俺に手ぇ出せないだけじゃないのかよ？」
そう言えば、ぼふ、と腹にパンチをもらった。
寝転がった不安定な姿勢からだったというのに、結構痛い。
「自惚れるなよ、バカ犬」
自惚れって・・・ああ。
自分で言ってしまった、『アンタが俺のこと気に入ってくれてっから』の意味に気が付いてちょっと赤くなる。
「自惚れてました、すいません」
「よし、許してやろう」
鷹揚に笑ったご主人様は、そのままころりとベッドの上を転がって、ヒノミヤの膝に額をぶつけ、『甘えてやっている』猫の仕草で笑う。
「まあ、真木に限ってそれはないさ。あいつ結構我が強いぜ？」
えー、と視線だけで意義を申し立てると、兵部はニヤニヤと笑ったままヒノミヤの膝の上に頭を持ち上げた。
何を要求されているかはさすがにヒノミヤもわかって、銀色の髪を梳けば、気持ちよさそうに目を細める。
「だから殺しちまうんだろうしさー、気に入った時とか、僕が殺りたいのに」
怖い怖いこわいマジ恐い。
至上最悪のエスパーマフィア・・・その怖さって、こういうのじゃなかった気がする。
しかも、兵部は喉を鳴らす猫さながらに、機嫌良く続けてくれた。
「一番イイのはさー、僕に突っ込んでるトコで、ゆっくりくびり殺すやつだよな。すっげーカタくなっていっぱい出んだ、後始末が面倒だって真木はぼやくけどな」
「おまえ、いっつも真木さんに後始末させてんのかよ・・・」
もう恐いトコには突っ込めない。
一体何に足突っ込んじまったんだろう俺。
がっくりとうなだれるヒノミヤの膝に、身を起こした兵部はのっしりと乗り上げて。
ヒノミヤの出したもので濡れたそこを、すりりと膝にすり付ける。
「今日は、おまえがしろよ？」
そう淫蕩に笑う彼は、目を奪われる美しさだ。
中から垂れ落ちて来たものが、膝を生暖かく濡らしていく感触もたまらない。
「それとも何かい？僕が自分で指突っ込んで掻き出してるとこ、見たいかい？」
「見たい」
思わず即答が出た。
そんな兵部超見たい。
「・・・ばーか」
そうすれば、こんな淫らなさまを見せつけていた兵部は、不意に頬を赤くして。
それから、ふいとそっぽを向いた。
「まあ、考えてやらんでも・・・」
その後はもごもごしていて聞こえなかったが、その様子は十分に可愛らしかった。
やっぱ、気に入ってくれてんじゃん。
そう思って嬉しくなったけれど、言ったら吹っ飛ばされそうなので、それはやめて。
ヒノミヤは、その体を腕の中に閉じこめて、傷跡の残る額にキスをした。
兵部はそれを受け止めて。
機嫌の良い猫のように、喉を鳴らして笑った。
終