翡翠の瞳 ２
なんだかんだと悪態をつきまくっていたけれど。
ずっと、憧れていた。
キレイだな、とか。
キスしてみたいな、とか。
そんなことまで、思っていた。
でも、その人も男だし。馬鹿みたいに強いし。
だから、とにかく認められたい一心で頑張ってきたのに。
今、その人が。
こんな奴らに。
シンの頬を、知らず、涙が伝っていく。
視界を遮っていた男の足が、動いた。
立てられた両膝、その上。
震える腰に、男のモノが出入りして。
白い腿に、血の赤の筋。
「う・・・・ぅ・・・・」
「代われ」
「ちょっと待てよ」
すぐにそれは遮られたけれど、それから時折垣間見える、無残な光景。
唇から流れる唾液に、白い粘液と涙が混ざって落ちる様が、奇妙に鮮明に見えて、また、遮られる。
「やめろ！やめろよ、アスランさんっ！」
「だ・・・まれよ・・・・ぐっ」
涙混じりの声が、それでも気丈にシンを止めて、消えた。
「黙れとよ。上官命令だぜ」
「そんなに乗り出して・・・・ああ、よく見えないのか？」
「連れてきてやれよ」
男たちが、嘲笑う。
シンは震えた。
嫌、だ。
行きたくない。
「やめろ！！」
シンのいる房が開けられて、入ってきた男を蹴ろうとして逆にひどく蹴りつけられた。
「や、め・・・」
向こうでアスランがもがいて、こちらではシンの頭に銃が突きつけられる。
がしゃり、と。撃鉄を上げる音がダイレクトに響き、シンの動きを止める。
アスランの動きも、止まった。
「言っただろ、大人しくしとけって」
そのまま引きずって行かれ、血と、精液と、涙と、そんなものに汚れたアスランが、全部、見えてしまって。
引き締まった下肢は血と精液にまみれて汚れきり、じゅくじゅくと音を立てて蹂躙されるその場所から、今も汚液が滴り続けている。
真っ赤に充血した目からはぼろぼろと涙がこぼれ、大きなものを頬張った唇から、かたち良い顎までを汚した精液と混ざり合って、ぽたりぽたりと床に落ちている。
膝を付いた床には、吐しゃ物の水溜りが、できていた。
「あ・・・あ・・・・」
後ずさろうとする背中を、勢いよく蹴られ、壁に叩きつけられた。
「何なら、坊やにもしてやるか？」
言っている意味がわからない。
「や、めろ。そいつ、子供、で・・・・」
ずるりと唇を開放され、放り出されたアスランが口を開くと、言葉と共に白い粘液がこぼれた。
「コッチは大人じゃん」
シンのアンダーがずり下ろされ、どっと笑いが起きた。
勃ち上がってしまったものを曝され、シンは羞恥に震える。
「ほら、咥えてやれ」
銃口が、アスランによく見えるように、シンのこめかみに押し付けられた。
後ろから突き上げる男に追い立てられるように、肩を使ってシンの前へ這い寄ろうとするアスランに、また、げらげらと笑い声が起こり。
「もう何にもできねぇだろ」
男のひとりがナイフを取り出し、アスランの腕を拘束していたワイヤーを切った。
両腕が力なく落ち、折れた左腕が男の腰に引っかかって捩れる。
「う・・・」
「ほら、サボんなよ」
そのまま、蹴られて。
かろうじて動く左手が、床を掻いてシンに向かって、体を引きずってくる。
「っあ・・・・・」
ひどく冷たい指が、シンのつま先にかかり、後ろの男に大きく突き上げられた衝撃と共に、奇妙な熱を持った体が、足の上に乗り上がった。
傾いた重み。べたついた手のひらが、シンのアンダーを掴む。
引きずられた左腕も、シンの腰にかかって。
湿った熱い息が、嫌な音を立てた。
何かに濡れた髪が、シンの腹に押し付けられ、そして。
「っ、やめてください！アスランさんっ！！」
シンのものが、その口腔に含まれる。
添えられた指は凍るように冷たいのに、絡みつく舌は、火のついたように熱かった。
顎も舌も、がくがくと震えている。しかも突き上げられるたび、びくりびくりと大きくふるえる波も混じる。
舌の動きはめちゃくちゃで、時折喉奥から呻くような音が漏れる。
シンの若い雄が、耐えられる刺激ではなかった。
「アスっ・・・」
名を呼ぶこともできず、離してくれと頼むこともできずに。その人の口の中に射精してしまい、シンは大きく首を振る。
ごふ・・・と、嫌な音がして、シンを咥えたままの口の端から、白濁の液がこぼれ落ちた。
「若いってな、いいねぇ」
男たちが、また、笑う。
アスランの口から引きずり出された、シンはまだ、硬く大きくて。
「今度は下でやってやれよ」
「おいちょっと待て、オレがイって、から、なっ！」
血に染まったそこを激しく扱われ、シンの足の上でアスランの体が跳ね上がり、指先が、きつくシンの腰に食い込んだ。
「うあぁっ、うぅ・・・」
アスランの中に存分に注いだ男が、抱えていた下肢を放り出す。
「ほら、可愛い部下がお待ちかねだぜ？」
はぁはぁと、荒く息をついてから、アスランは肘を付いて、顔を上げた。
「す、みま・・・・っ・・・」
綺麗だと思っていた髪が、精液を含んで重く濡れている。口の端から、今もこぼれているのはシンの放ったものだ。
それでも。
シンを捕らえた翡翠の瞳は、光を失っていなかった。
こんなこと、されているのに。
こんなに、なっているのに。
その強さに、息を飲んだ。
「大人しく、してろ」
搾り出すように、それだけを言うと、アスランは縋るようにシンの肩を掴み、力の入らない膝を無理に立たせて下肢を引きずり上げた。
力を失ったままのアスランのものが、シンの腹にこすり付けられる。
ただ、辛いだけの、苦痛だけの行為なのだと、その体が物語っていた。
「ア、スラ・・・・」
「黙ってろ」
そう唸ると。
アスランは、膝の力を、抜いた。
「・・・・っ！」
声にならない悲鳴は、どちらのものだったろう。
刺し貫かれたアスランか、貫いたシンか。
犯され続け、裂けて壊れたそこは、それでも熱くぬめってシンに快楽を与えた。
「・・・・ぅ、あ、すらんさ、っ、く・・・・・・」
それがシンにはいっそう辛い。
ぼろぼろと、こぼれる涙が止まらない。
「ほら、ちゃんと動いてやれよ。じゃないと坊や、イけないぜ？」
しかもアスランは、その言葉に反応して腰をつたなく動かし始めたのだ。
「早く、イけ、よ。頼む、からっ」
そんな。
そんなこと、言われても。
シンがパニックを起こしているうちに、銃を持った男が、笑いながらシンの頭をそれで小突き、言った。
「おいおい、そんなんじゃ、ダメだろ」
そして、アスランの折れた方の腕を、掴み上げた。
「あああああっ！！！」
それは、どんな苦痛なのだろう。
崩れていたはずのそこがシンを締め付け、反射で伸びた膝が、アスランの体を押し上げる。絞られる感覚に、少年はあっさりとまた精を吐き出していた。
「っあっ・・・ああ・・・・・・」
ぐったりと、シンの体にもたれかかったアスランは、しかしすぐにまた引きずり起こされた。
シンはアスランの体内から引き出され、自分のものが混じってしまった粘液が、新たな出血と共にそこからこぼれ落ち、足を汚した。
「お楽しみは終わりだな。後はゆっくり見物してろや」
また沸き起こる、笑い声。
シンのすぐ側、腕のワイヤーさえ解ければ、いや、シンとアスランの間を行き来する銃口さえなければ、すぐにも触れられる場所で、また、陵辱が始まる。
拘束を解かれても、体を支えきれないアスランは、また、汚れた床に投げ出されて。
目の前で犯される体を、シンはただ、見ていることしかできなくて。
「ア・・・スラン、さん、アス、ラ・・・・っく・・・・」
ただ、名前を呼ぶことしかできなくて。
泣くことしか、できなくて。
それを見て、また、男たちが笑って。
「呼んでるぜ、アスランサン？」
アスランの中に注いだばかりの男が、軽く、アスランの体を放る。
折れたアスランの腕が、ばたりとシンの足の上に投げ出された。
奇妙に歪んだ力ない腕。
シンの、記憶を掻き毟る。
「う、ああああああぁ」
「黙れ！」
嗄れた声で叫んだアスランが、腹を蹴られてうずくまる。
とたんに声の出なくなったシンの目の前に、右腕を掴まれたアスランが吊り下げられた。
「う・・・くっ」
うめいたアスランの脚の間から、シンの膝へ。生暖かいものがはたはたと落ちる。
その量は、さっきよりもずっと、増して。
「なんだ、今すぐこいつがハラワタぶちまけるの、見たいのか？」
アスランの縄を切ったナイフが、血と精液に汚れた腹に押し付けられた。
ナイフに押され、わずかに窪んだ白い肌。
シンを、アスランを見下ろす男の、憎しみと愉悦に歪んだ顔。
シンは心底恐怖した。
もう声も出ない。
「バーカ、んなすぐ楽にしてやるわけねぇだろ」
男は吐き捨てると、それでもアスランの腹筋の上に一筋、赤い線を描いてナイフを仕舞った。
血はあまり出なかったけれど、白い体を彩る赤い色は男たちを更に興奮させ。
アスランが完全に動かなくなるまで、陵辱は続いた。