ハロウィンにゃんこ １
お仕事から帰ってきた旦那様は、大好きな奥様のちゅーを貰った後、大きなおおきなため息を付きました。
玄関先には、オレンジ色した大きなかぼちゃ。
もちろん、中をくり貫いて、お目目とお鼻、それから大きなお口が抜いてあります。
その他にも、いっぱいかぼちゃ。
みーんなみんな、ジャック・オ・ランタン！
「今年もやるのか」
「当たり前だろ」
ジュールさん家のハロウィンパーティーは、もうご近所じゃ有名です。
ご近所って言っても、プラントのお偉いさんばっかりですから。
アスランさんが、ちいちゃい子たちを喜ばせたくってパーティーを開いても、それだけじゃあ済みません。
ちいちゃい子たちが来たら、そのお父さんお母さんたちも来て、お父さんお母さんたちが来たら、難しいお話なんかが始まっちゃって・・・
めんどっくさくって、でもでも、いろいろ使えそうなあれこれが思い浮かんじゃって、旦那様は、もっとため息です。
「だから、ごちそうよろしくな」
「・・・・」
いいんですけどね。
「ああ、くり貫いたかぼちゃは、とりあえず全部急速冷凍して冷凍庫に入ってるから」
「・・・・・・・」
いいんですけどねー！
いっぱいのかぼちゃで何つくろうか、なんて。
考えるだけで、顔には出さないけど楽しくなっちゃうのは、料理好きの性なんです。
仕方ないんです。
「何やってんだよぅ！アスランさん！」
旦那様より先に帰ってた子わんこが、業を煮やしててってけやって来ます。
隊長、『ごぶたさ』だったから、ちょっとならアスランさん貸してあげるけどさ。
いっぱいは、ダメだよぅ！
「ごめんごめん、ハロウィンパーティーのごちそうを頼んでたんだ」
アンヨにぺったりくっついた子わんこを、ひょいと抱き上げて、アスランさん。
ふっくりほっぺにちゅーをして、教えてあげると。
「ごちそう！」
シンのお目目がキラキラしました。
シンは、旦那様のごちそうが大好きです！
「お肉のシチューがいいよ！あとねえ、ピザ！それからねえ、パイ！りんごのと、かぼちゃのと、お肉のとぉ・・・」
「・・・・・・」
子わんこにこんなこと言われちゃって。
どういうの作ろうかな、なんて。
お料理のこと考えるのが楽しいのは、きっとストレス溜まってるんだなって、旦那様。
とりあえず、今夜、奥様に解消してもらうことに、決定しました。
さあ！ハロウィンパーティーです！
アスランさんは、今年も黒にゃんこ。
ハンターの目で、子わんこたちを見ています。
いっぱいいっぱい、お写真撮るんですよ！
シンは今年もコウモリですね。
「ばっとまーん！」
って、なんか勘違いしてますけど、可愛いからいいんです。
レイが魔女なのはお約束。
ああ、仲良しのコーギーちゃんはユーレイですねｖ
みんなとっても可愛いです。
ふくふくほっぺいっぱいに、おいしいごちそう詰め込んで、とってもとっても嬉しそうな、可愛い可愛いおばけたちに囲まれて。
とってもとっても嬉しそうな、可愛いんだけどもそれより色っぽい黒にゃんこ。
とってもとっても幸せそう！
いつもは口うるさい旦那様も、今日だけは特別です。
だって、このハロウィンパーティーは、奥様のお誕生日パーティーも兼ねてますから。
年に一回くらい、大目に見てあげてもいいでしょう。
まあ、撮った写真を、その場で他のお母さんたちとシェアするくらい。
お父さんも交えて、記念撮影するくらい。
ついでに、動画も撮ってあげるくらい。
それをその場でシェアするくらい・・・
「・・・やめい」
そろそろ旦那ストップが入りました。
奥様のカメラは、マイクも高感度。
奥の難しい会話まで入っちゃってますよ！
さてさて。
おなかいっぱい、お菓子ももらってほっくほくの子わんこたちは、夜も更ければ夢の中。
お母さんたちに抱っこされて、みんなお家に帰ります。
後は、リビングでお父さんたちが、大人のお時間。
でもでも、大人のお時間、追い出されちゃったアスランさん。
しょーがないなって、寝室でお誕生日プレゼントを開けてみます。
「おお！」
キラからは、最新とっておきのハッキングソフトです。
「やっぱり、こういうのはキラの方が得意なんだよなぁ」
いろいろ非合法なアスランさん。
いえ、べつにもう非合法じゃなくてもいいはずなのに、勝手に非合法やっちゃってるアスランさん。
こういう、実用的なプレゼントは助かります。
カガリからは、なんと、オーブの誇る（？）マスコットキャラ、オブちゃん写真集！
グッズとお菓子もたっくさーん！
ツボを心得てますね。
さすがですね！
それからそれから。
「ラクス・・・？」
元婚約者からのプレゼント開けたアスランさん。
ちょっぴ困ったような、嬉しいような。
「実用、かな」
そう呟いて。
とりあえずそれは、ベッドの上へ。