Display ２
入れられるのには、慣れている。
しかし。
「ひぁ・・・っ」
自分のそこが、押し当てられた大きなものに、合わせるようにぬうっと開き。
そのまま、ずるずると飲み込んでいくその様は。
初めて見る、いやらしい光景。
「やっ、あっ、ああっ・・・」
大きな先端を飲み込んだ後も、いつもよりもゆっくりと、太い血管の浮いたグロテスクにも見えるものをそこが受け入れていくさまは、実際に中を押し開かれていく感覚を、より鋭敏に感じさせて。
しかも時折、くちゅ、ず、と、淫らな水音と、自分の喘ぎまで大きく聞こえるのだからたまらない。
「いつもより、きついですね」
そう揶揄されれば、余計に感じてしまい、そうすれば、画面の中のいやらしい場所が、ひくん、と口を噤もうとするのがわかった。
大きなものをくわえ込まされ、そんなことはできないというのに、だ。
「感じているんですか？」
「ば・・・ぁっ」
慣れた罵倒も上擦って、巧く出来ない。
「あー、なんかさ」
その様子を舐めるようにカメラに納め、ヒノミヤがうんうんと頷いた。
「確かに、いつもよりヒクヒクしてるよな」
「いつも、見てるみたいに・・・っ」
それにひくひくなんか・・・あんまりしてないだろ！
危うくあらぬことを口走りそうになった兵部に、ヒノミヤはけろりと言い放った。
「いつも見てるぜ。後ろからする時とか」
「ーーーっ！」
「だから撮りたいって思ったんだよなｖ」
ヒノミヤがそこをズームにする。
大きなものを、ほぼ根本まで飲み込んだそこは、真木の陰毛に半ば隠されていたのだけれど。
ぐ、と腰を持ち上げられて、その入り口が、離すまいと絡みつく様子が大写しにされて。
「確かに・・・少佐のここはいやらしいですからね」
そう言われてまた深々と貫かれ、ぐちゅん、と大きく粘着質な水音が響き、兵部は羞恥と快楽に悶絶した。
「ば・・・か、っの・・・・っ」
そのままゆさゆさと揺さぶられれば、慣れたそこはもう快楽しか拾わない。
しばらく、アップにしたそこにピントを合わせようとしていたヒノミヤだったが、不意にカメラを引いて。
兵部の白い体が、真木の上で淫らにくねるのを映した後、今度は顔にズームアップした。
「兵部のアヘ顔、可愛いぜ」
「あ・・・ああ・・・・っ」
言い返そうにも言葉にならない。
画面では、閉じられない口から喘ぎと唾液をしとどにこぼしただらしない顔の男が、焦点の合わなかった目を、どこか（画面だ）に合わせた後大きく首を振っていた。
銀色の髪がばさばさと振るわれるたび、ぐちゅぐちゅといやらしい音が、スピーカーから絶えず流れる。
「や・・・っ」
不意に、その顔がびくんと引きつった。
真木が、腰を打ち付ける強さ速さを上げたのだ。
もう、画面を見るどころではない。
「ひ、や、あ、ああっ・・・・！」
「イく時は、やっぱコッチかな」
冷静を装ったヒノミヤの声も、欲望に上擦っている。
真木のものを食い締めて、イく兵部のそこをじっくりと眺めているのだから当然だった。
「っと」
ひょこ、と角度を変えたのは、イった兵部の白濁が、精密機械にかからないようにするためだ。
ふう、と真木が息をつく。
「・・・・っ」
中に出された精の熱さを感じ入るように、兵部の白い体がふるるとおののいた。
エロいなー、と思ってヒノミヤが顔を上げると、真木のそれと目が合う。
同じ相手が好きな者同士、以心伝心。
ヒノミヤはまた、男を飲んだままの兵部のそこを大写しにして。
真木は、くったりとした兵部の頬にキスをして、涙の浮いた眼差しを、画面の方に誘導してから。
ゆっくりと、自身を含ませた腰を引き上げた。
ぬちゅ、と、耳を覆いたくなるような音がして、そこから真木が引き抜かれる。
追い縋るように絡みついた襞のいやらしさに、目を奪われたのもつかの間。
すっかり口を開けてしまったそこからは、どろり、と。
注がれたものがこぼれ落ちて、兵部の白い腿を伝い、真木の腹に垂れて溜まった。
「ぅ・・・・」
精液が襞を抜けていく感覚は、もともとあまり好きではない。
いっそ掻き出された方がマシだと思えるそのささやか過ぎる刺激は、しかし視覚を伴うと、ぞくぞくとした官能を呼び起こした。
「あ、口つぐんだ」
「言・・・うなぁっ！」
自分のそこが、何もされていないのに勝手に感じている様子を実況されて、兵部がじたじたと暴れて怒鳴り返す。
「もう少し、出しておきましょう」
「っ、ふゃっ！」
そうして、つぐんだ口を指で開かれ、今度は踏まれた猫のような声を上げた。
「うー・・・」
この指に、掻き出されるのは慣れている。
しかしそれは、だいたい官能が治まった後なのだ。
こんな感じやすい状態で、そんなことをされたら。
「あんっ・・・んっ・・・・・」
ぐちゅぐちゅという水音に、中を掻いていく指の感触。
何よりも、流し込まれた精液を掻き出されているという実感が、たまらなく兵部を感じさせて。
「少佐、始末をしているだけですから」
「すっげーエロぶっ！」
いらん茶々を入れるヒノミヤの、幾度かぶつけて赤くなった鼻っ柱にばちんと一発放電させて。
「いい、から、もう」
息も絶え絶えに涙目に、しかしもの凄く偉そうに兵部は言った。
「ヒノミヤ、来い」
「了解だ、ご主人様」
嬉しそうに尻尾を振る犬は可愛い。
可愛い、けれど。
カメラと引き替えに真木の手から渡された体を、ヒノミヤは豪快にひっくり返した。
「うわっ」
ぼふっ、と間抜けな音がして、胸元のマイクが外れたが、ちょうど口のあたり転がったので、二人ともそれを放置した。
ヒノミヤは、きゅう、とシーツを握る兵部の可愛らしい指はそのままに、腰だけを掴んで引き上げる。
真木も心得ていたように、カメラを持ってベッドの端に腰掛けた。
「ば、この、・・・っン！」
ぐちゅん！と、いやらしい音がひときわ高く響いた。
画面には、ヒノミヤのものが一息に、小さな尻に飲み込まれていく様が映し出されて。
しかし、ベッドに突っ伏した兵部には、もうそれを見る余裕はない。
「ひゃ、あ、あ、ああ・・・・っ」
ぐいぐいと後ろから犯されて、その感覚だけでもうたまらないというのに。
ぐちゅ、ずちゅ、ずりゅ、ちゅくっ。
いつもよりも、ずっと大きく聞こえる淫らな音に、頭の芯から犯されるようだ。
「あ、あ、あ、あ・・・・」
シーツの上に唾液をこぼし、はしたなく喘ぎ続ける兵部の顎を、真木の片手が取って。
親指で唇を撫でられて、反射でそれをくわえ込む。
「ん・・・・っ」
しかし、後ろからの突き上げに、思わずそれに歯を立てて。
「・・・兵部」
「む！っン」
呼ばれてゆるりと目を開ければ、そこには、後ろからヒノミヤに攻められながら、とろけた顔で真木の指をくわえた・・・
「っ！」
がり、と口腔の指に歯を立てて、血味の唾液をごくりと飲み込む。
画面の中の自分の口から、赤い物がこぼれ出て、慌てて食いしばった歯を離せば、また深々と貫かれ。
「ひんっ、やんっ、あ・・・ンっ」
真木のカメラはヒノミヤよりも遠く、秘所に限らず艶めかしくのたうつ体を、まんべんなく映し出す。
「とても・・・いやらしいですよ、少佐」
「ばっ、か、ああっ！」
白い背がびくびくとひきつるが、その直前、ヒノミヤは兵部の根本をきゅっと握って戒めた。
「お前、あんまイくとすぐ寝ちまうからな」
「ーーーーーっ！」
前がイけなくても、後ろだけイってしまう体なのだ。
そんなことをされたらたまらない。
しかも。
は、と、すぐ近くで、ひどく熱い吐息が聞こえた。
ヒノミヤを後ろで食い締めながら、シーツに突っ伏した顔をわずかに上げると、一度放ったはずのそれをすっかりいきり勃たせた真木が、兵部にカメラを向けていて。
その向こうの画面では、高く腰を上げたいやらしい生き物が、男の動きに合わせて腰を振り、気持ちよさそうに喘いでいる。
ぞくぞくと、極まっていたはずの快感の、更に上が見えてくる。
兵部は、だらしない喘ぎをこぼしていた唇を、無理矢理動かして声を出した。
「・・・まぎ」
「はい」
長い付き合いは伊達ではない。
真木はその言葉を正確に理解して、カメラを構えたまま兵部のそばににじり寄ると、自分の名を呼んだ口元に、大きくなったたものを押しつけた。
「んっ・・・・」
嬉しそうにそれを口にする兵部の表情は、とろけるような甘さに満ちていて。
それを間近で映し、最後に嘗めるように、二人の男に犯される肢体を撮影してから。
真木は、手を伸ばしてテレビ台の上にカメラを置いた。
それから、彼の感じる喉奥を、その先端でぐりりと塞いだ。
「んーーーーっ！」
嬉しい無体に後ろのヒノミヤを締め付けて、更に激しく犯されて。
兵部はいっそう淫らにその白い体をくねらせる。
もう、誰も画面を見てはいない。
その白い体が、この場のすべてを支配していた。
二人がかりで犯されて、身も心も満足して。
十分に寝こけたその翌朝、忙しいヒノミヤはもう、船を下りる準備をしていた。
休暇が今日までだとは聞いていたが、それでも不満げに見送る兵部に、ヒノミヤはどかんと爆弾を落とした。
「じゃ、これオカズにさせてもらうわ」
ヒノミヤが持っているのは、ありふれたディスクケース。
何のラベルもない透明なそれでは、中に入っているディスクがまる見えで。
やはりそっけない銀色のそれには、太いマジックでただ二文字、【兵部】と汚い字で書かれていた。
「・・・・おい待て」
兵部の仏頂面が本気でひきつる。
こんな顔は滅多に拝めない。
「安心してください少佐、コピーガードは掛けさせましたから」
兵部の後ろに立った真木が、なんでもないことのように言うのに、兵部は声を荒げた。
「そうじゃねえだろ！おい真木。回収しろ！」
しかし、真木は悟り切ったような声音で淡々と答えた。
「我慢できずに商売女に手を出して、病気を持って来られるよりマシです」
「しょうがねえだろ。俺、真木さんと違って四六時中アンタといられる訳じゃねえんだから」
ヒノミヤも悪びれない。
もちろん、他で発散するなどもってのほかだが、このくらいの慰めはあってもいいと思うのだ。
「俺も四六時中いられる訳じゃないんだがな・・・」
真木が大きくため息をつく。
これは、仕事をしない話ではなく、勝手に行方不明になる話をしているのだとわかって、兵部が口を閉ざす。
閉ざす、が。
「うぉっと！危ねぇ！」
ばちん！と手元に走った電撃に、ヒノミヤはとっさに手元のディスクを抱え込んだ。
「離せヒノミヤ、でないとお前ごと吹っ飛ばすぞ」
兵部の本気を感じ取り、ヒノミヤは慌ててゲートに駆け込んだ。
「やなこった。・・・じゃあな兵部！」
「二度と来んなー！」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ兵部は、それでもゲートの向こうまでは追いかけはしない。
それを、少し妬ましく思いながら。
四六時中一緒にいられる訳ではない自分の分も、同じディスクがあることを。
それから、兵部がカメラのことをすっかり忘れきった後も、それは彼の痴態を映し続ける場所に置かれていたことを。
真木は、とうとう言わずにおいたのだった。
終