ぺろｖ
シンは、子わんこです。
子わんこなので、水遊びが大好きです。
でもね、お風呂は、キライなのです。
「シン。シーン。こら、出て来い」
ベッドと床の間に挟まったシンを、ご主人様のアスランさんが一生懸命呼んでいますが、シンはつーんと無視しました。
出たら、お風呂へ入れられてしまいます。
お風呂はキライです。
体中を、人にわしゃわしゃ洗われるなんて、日本男児のすることではありません。
「仕方ないな・・・」
しかし、シンは子わんこなので。
頭隠して尻隠さずという言葉を知りません。
なので、はみ出したお尻を、がっき、と捕まえられて、ずるずるとそこから引きずり出されてしまいました。
「放せよう、アスランさん！」
「お前、本当に風呂が嫌いだな」
「レイは？レイはーーーっ？」
せめてレイを道連れにしようと騒ぎますが、ご主人様は困ったように、シンに教えてくれました。
「レイは一人で入れるんだよ」
「うーっ！」
「シンも、早く一人で入れるようになろうな」
絶対嫌です。
ご主人様といっしょの特典がないのに、お風呂なんか入りません。
「騒いでも、どうせ入るまでだろう。さっさと放り込んで大人しくさせろ」
旦那様は、うるさそうにそう言って、レイと一緒にさっさと居間へ行ってしまいます。
「わかってる・・・行くぞ、シン」
そうして、ご主人様に軽々と持ち上げられて、シンはお風呂へ入れられてしまいました。
でも、旦那様の言うとおり、お風呂に入ってしまえば、シンも大人しくなります。
お湯が毛皮の中まで染みて、うーっ、ぶるぶる！って感じになるのですけれど、ご主人様の手にわしゃわしゃと洗ってもらうのは、そう悪い気分ではありません。
しかも、前に目に泡が入ってキャンキャン鳴いてしまったので、旦那様がシャンプーハットを買ってくれたのです。
これで目を開けていても大丈夫です。
お風呂のご主人様は、なんだかいつもよりキレイで、いい匂いがするのです。
だから、目の前のアンヨにふんふんすると、「やめろよ」と言って鼻の頭に白い泡をくっつけられました。
それをぶるぶると取っていると、ご主人様の足の間に、何かがあることに気がつきました。
シャンプーハットを買ってもらう前は、ぎゅーっと目を瞑っていたので気がつかなかったみたいです。
なんだろ。コレ。
シンは自分の足の間を見ます。
なんだか形が違います。
やっぱり違うものみたいです。
？？
でも、ここもいい匂いがします。
他所よりも、もっといい匂いです。
なのでシンは、赤い舌を出してみて。
それを、ぺろ、と舐めました。
「〜〜〜〜〜〜〜！」
それは、ぴくんってしました。
よく、ぺろぺろするほっぺたとかよりも、ちょっとおいしい気がします。
「ちょ、シン、やめろよお前」
ご主人様が、珍しく焦った声を出すのも、楽しいです。
だからシンは、ぺろぺろとそれを舐めました。
ご主人様は、シンの首根っこを掴んで引っぺがそうとしますが、シンはがっしりとしがみついて頑張ります。
なんだか、ちょっと大きくなってきました。
楽しいです。
「やっ、ちょっ、待て！シン！！」
待て！は、おすわりをして、じっとしなくてはいけません。
でも、今シンは、待てをする気分ではありません。
ぺろぺろ。
「こら！」
げんっ、と頭を叩かれて、その弾みで、あぐ、と、歯が当たってしまって。
「――――っ！、イザークっ！！」
とうとう、ご主人様は大声で旦那様を呼んでしまいました。
とたん、がったん！と、お風呂のドアを壊す勢いで現れた旦那様は。
「どうした！アス・・・・っ！！」
そこで鬼の形相になって、シャンプーハットの子わんこを、ご主人様の足の間から、ものすごい勢いで引っぺがしました。
力の加減なんかありません。
「きゃん！」
シンが鳴いてもおかまいなしです。
「このバカ犬！！」
「い、や、イザーク、助かったけど、そこまで怒らなくても・・・」
ご主人様は、なんだか顔が赤いです。
「貴様はソレをなんとかしろ！」
「ああ、・・・うん」
頷いたご主人様は、何故か水のシャワーをざばーっと出して。
「シンも、泡・・・」
そう言って、なんだかぞくぞくする目でこっちを見るのですけれど。
「コイツは流しで十分だ！」
そう旦那様に言われてしまい、シンはそのまま、洗面所で、ばちゃばちゃと水をかけられました。
「ぎゃん！冷てーっ！何すんだようっ！」
「このくらい我慢せんか！」
「きゅーん、くーん、俺が何したってんだよー！」
泣き出したシンに、旦那様は自慢の大きな声で言いました。
「うるさい！アスランのアレを舐めていいのは俺だけだ！！」
がったん！と、お風呂でご主人様がひっくり返る音がしました。
レイは居間で、耳を塞ぎました。
「なんでだよー！」
叫んだシンは、また、ばっちゃん、と、思い切り水をかけられてしまいました。
keiさん曰く、子わんこはまだ、た○のこの里なのだそうですよ！！