男の性（さが） ２
白いフリルに、黒いリボン。
スカートは短く、しかもニーソックスで花月の細い脚が、十分に堪能できる。
メイド服を着た花月は、文句の付けようもなく美しく、そして、可愛らしかった。
「やっぱりスカートはスースーするね」
そんなことを言いながら、自らスカートの裾を持ち上げてみせる花月を、十兵衛は眉をひそめて制止した。
「やめろ花月、はしたないぞ」
「ああ、そうだね。ごめん」
今のはスルーでＯＫなのか花月！？と、悩む俊樹を振り仰ぎ、花月は「似合うかな？」と小首を傾げた。
俊樹はもう、こくこくと首を振る人形になるしかない。
「嬉しいんだか、嬉しくないんだか・・・・」
そう言って笑った花月を、十兵衛がそっと抱き寄せて。
「貴様は何を着ても様になるな」
俊樹も負けじと、短くなった花月の髪の間に指を差し込んだ。
「その、お前は不本意だろうが良く似合う。着てくれて感謝する」
「ふふっ、そう言われると悪い気はしないかな」
二人の賞賛に、花月は微笑んで応えた。
花月も昔は、振袖を着て育ったのだ。もともと女物の服には抵抗はない。
ただ、それを揶揄されるのが、嫌いなだけで。
だから、大好きな二人にこう言ってもらえれば、素直に嬉しいし。
「で？・・・・着せる、だけ？」
触れてくる二人の体温が、いつもより高くなっているのを感じれば。
これくらいのことは、言ってあげる。
「花月が、いいのなら」
俊樹の唇が、頬に触れる。
「もう少し、着ていてもいいのではないか？」
そう言いつつも、十兵衛の手は、花月の腰を抱いていた。
「だってさ」
花月は、そう言うと、笑って。
「他の誰かにこの格好を見られるのは、やっぱりちょっと・・・ね」
俊樹の頬に口付けを返し、十兵衛の腰に、己のそれを摺り寄せる。
そんな花月の、媚態に。
「そうだな」
「まったくだ」
男二人は、深々と頷いたのだった。
スカートというものは、便利なものだと十兵衛は思う。
すぐに下着に手が届き、その中にも、すぐに。
「下着も、女物なのか？」
十兵衛の引き下ろしたそれを目にして、俊樹が思わず、といった風に声を上げた。
「一式、だと笑師は言っていたが」
「うん。なんだか、靴下とか全部新品だったよ」
「笑師・・・・」
二人は、気の良い、なおかつ気の利く友人に感謝した。
レースの下着に彩られた白い脚は、十二分に男をそそり。
その奥への期待に、胸躍らせる。
滑らかな生地のその下に、逞しく、なおかつ繊細な手を差し込んだ十兵衛の、無意識の 声。
「良い、手触りだな」
「んっ、どっち、が・・・？」
スカートから伸びた滑らかな足が、下着をまとわり付かせたまま、ゆるりと揺れた。
脱がせてもいいのだが、初めて見るその眺めが気に入った二人は、そのままに手を進ませる。
「お前の脚に決まってるだろう」
「ここも、な」
俊樹に、敏感な太腿を。
十兵衛に、熱を持った尻肉を。
一度に愛撫を施され、花月はふる、と身を震わせる。
「も、二人ともっ、そこばっかり・・・・」
「せかくだからな」
「似合うぞ、花月」
言いながら、十兵衛は、触れていた場所の、更に奥。
花月の、もっとも感じる場所に、指を触れさせた。
「あ・・・・んっ」
ずる、と、侵入ってくる、たこのできた硬い指。
既に慣らされた感覚に、花月は甘い声を上げた。
「仕方ない、先は譲るぞ、筧」
「ああ」
スカートの下で交わされる言葉さえ、今の花月には快感に繋がる。
「まったく、勝手、に・・・・んふっ」
それでも文句を言ってやろうと、口を開けば、また。
今度は俊樹がニーソックスを引き下ろし、膝の裏に唇を落としたのだ。
下肢ばかりを愛されて、思わず突き出された腰の奥。
その中を、たっぷりと長い指で蹂躙し、十兵衛はその、濡れた襞を愉しんだ。
「じゅう、べ・・・・」
「筧」
咎めるような二人の声。
それに、緩く笑って、頷いて。
「花月、どちらからがいい」
そう、ヘッドドレスの下の耳にささやく。
「ん・・・俊樹がいるから、うしろ・・・・」
心得ている花月は、下着に拘束された不自由な脚をもぞもぞと動かして、それを二人に助けられ、膝を突いて四つんばいになった。
そうして、ぱたぱたと自分の前の床を叩き。
「俊樹」
そう、無邪気に彼を呼んだ。
花月が、よく無造作にする仕草だが、今は格好が格好なので。
俊樹はクラクラしながら、言われたとおりに花月の前にまわった。
「いいのか？」
「何を、今更」
そう言った花月は、恐らく、自分の姿のかもす効果をまったく理解していない。
メイドさん姿のこの綺麗なひとに、咥えてもらえるなんて。
男のロマン、ここに極まれり、だ。
「とーしーきー早く・・・・ん、あんっ！」
しかも、十兵衛は、さっさと白いレースをめくり上げ。
柔らかな丸みを曝すと同時に、その狭間にすっかり育った大きなものを押し込んでいる。
「ん、ふ・・・・ぅ・・・・」
ずるずると、押し入られていく感覚に、寄せられた眉の悩ましい表情。
赤く色づいた唇からは、喘ぎとともに、もっと赤い舌がのぞき。
俊樹は、ごくりと唾を飲み込むと、その前に、己のものを差し出した。
その瞬間、フ、と笑った唇は、メイド服に似合わぬ、淫らで強気で狡猾な、花月本来の、かたち。
その唇に、ぱくり、と咥えられ。
「ん、んーん」
とたん十兵衛が後ろから突き上げてきたものだから、一息に喉奥まで侵入ってしまって。
「ん、ん、ん、ふ、ん・・・・・」
フリルに覆われた喉を満足そうに喉を鳴らしながら、淫らに、スカートをまとわり付かせた腰を振って。
メイド服姿の花月を、ふたり、十分に堪能し。
しかし、それを着た花月を見た者は、この二人意外には、一人たりともいなかったという。
しかし、この二人意外、見ることができた者は、一人たりともいなかったという。