子わんこシン 伊達男は伊達巻巻いちゃうぜ!
男前

初出 2006/05/11


シンは子わんこです。
ザフト軍の精鋭、ジュール隊のMS部隊でエースパイロットをしてて、最新型MS『ケルベロス』に乗ってます。
シンは柴犬の血統を正しく受け継いでます。
ではその柴犬ってわんこについて、ジュール隊長からご説明願いましょう。

「良かろう。

柴犬は日本古来から山岳地帯で獣猟犬として活躍していた小型の土着犬だ。
東南アジアに分布したパリア犬の系統をくむ犬種で、北方系の秋田犬とはルーツが違う。

違うのだ明らかに!(ここ重要。試験に出ます)

猟犬としての柴犬は日本のほとんどの地域に分布していたが、交通の不便な山岳地方で長く純粋性を保つ事になる。
新潟、山梨、長野、岐阜、島根など地方ごとに異なる特質を持つ個体が知られているな。
幕末に日本を訪れたシーボルトは日本で3種の犬を見たと回想している。
「狩犬」「町犬」と「狆」の3種で、「町犬は外来種との雑種が多い。」「狩犬は長吻、立ち耳、短毛・・」と記述がある。
この「狩犬」こそが日本犬の源流である。
明治に入るとさらに多くの外来種が上陸し、日本の山岳部での狩りに洋犬が使われるようにもなり、在来種との交雑も進んだ。
昭和3年に日本犬の保護と質の向上を目的に「日本犬保存会」が設立され、昭和9年に「日本犬標準」が制定された。
「日本犬標準」は日本犬をサイズ別に大型、中型、小型と分類するもので小型にあたるのが柴犬である。
小型犬、だぞ。
昭和11年に柴犬は天然記念物に指定されたが、地域開発が進む中、交通の発達による血液交流、さらに戦渦により純粋犬は壊滅状態となった。
戦後、柴犬再生の気運が高まり、やむなく産地の異なる柴犬を集め交配した事で、各地名を冠して呼ばれていた柴犬の特質がほとんど失われてしまった。
純度が高い事で知られた美濃柴(岐阜県産)や信州柴(長野県産)も確固たる系統を保つ犬が居なくなった。
残念な事に、近年の急激なペットブームに便乗して、立ち耳、巻き尾の小型犬を総称して柴犬と呼んだ業界の無節操な商魂が犬質の低下に追い打ちをかけた。

犬種名は、刈り取った柴の色に被毛色が似ている事から柴犬と呼ばれたとする説、柴の中を巧みにくぐり獲物を追った事に由来するとの説、シバとは「小さいもの」を意味する言葉で後に柴の文字をあてた、など諸説ある。

…名は体を表す、と言うがその通りだ。

古くから日本の住環境になじみ、飼育しやすい事が柴犬最大の長所であるが、しばしば聞かれる「ペット飼育の入門犬」とする位置づけは間違っている。
柴犬は外貌上、性徴がはっきりしている事が要求される。
さらに心身のバランス(稟性)も重要で、いかに理想的な体形を示していても、精神的に欠点を持っていては柴犬本来の体形美の表現はできない。
柴犬は主人、家族に対して忠実で深い服従心を持ち、

……服従心はともかく、家族思いだ。

大胆でありながら沈着で、かつ冷静な判断力を持つ日本犬である。

……はずだ。

頑健な体躯にきびきびとした素早い動作がこの犬種の特徴。

………俺が呼んだ文献では、そのように記されていたのだが………。

柴犬の本質は「素朴」にあり、素朴の中に「渋さ」を留める。
柴犬はまことに奥深い伴侶犬だ。
日本犬保存会から脱会して「天然記念物柴犬保存会」を設立した人々は縄文遺跡から発掘された小型日本犬の姿こそ柴犬の理想であると主張して活動を続けている。
素晴らしいな。
近年、海外、特にアメリカに於ける柴犬の人気は高まるばかりだ。
無駄吠えが無い事や尻の始末が良い事などにより、室内で飼育しやすい犬の上位にランクされ、文献によってはバセンジーと並び「吠えない犬」と紹介される例もある。
小型の愛玩犬や洋犬には見られない日本犬独特の「自立性」と、他人とは「距離をおく」柴犬の資質に賞賛をおくる海外の愛犬家も多い。
海外で柴犬は「東洋的な犬」として高い評価を受けており、熱心なブリーダーも増えている。。

以上だ」

はい、ありがとうございました。

さてそんな人気犬のDNAを濃く持って生まれたコーディネイタードッグのシンは、ちっちゃいけど人気者です。
ご主人様が隊長だった頃、最初にザフト軍に入った頃。
その頃からシンは人気者でした。
最初、シンはどうしてみんながお菓子をいっぱいくれたり頭を撫でたりしてくれるのか分からなかったんです。
でもお菓子も好きだし、撫でてもらうのも好きだし、それに…ああ、でも、抱っこはちょっと困るんです。
だってり抱っこは赤ちゃんみたいではずかしいんです、本当は。
ご主人様の抱っことかは好き好き大好きなんだけど、女の人は、シンを抱っこするとなかなか離してくれないし、他の人に渡しちゃうし。

みんなが抱っこの順番待ちしてることなんて、シンは知りません。

それに、女の人に抱っこしてもらった後って、どうしてかわかんないけどルニャマリアがご機嫌悪いんです。
すぐシンをひっかくんだもん。イヤんなっちゃう。
まぁそれはともかく。
ご主人様は隊長だった頃に、そんなシンに言ったんです。
「シンはもてるな」
って。
もてるって、どういうことかシンには分からなかったので、そのことをレイに聞いてみました。
レイは頭がいいから、大抵のことは知ってるんです。
「皆、シンが好きだということだ」
てレイは言いました。
「なんで好きなんだ?」
「それは…まぁ、いろいろだろう。シンはパイロットとして、インパルスでがんばっている。オーブ海域でも、ミネルバを守ってくれたのはシンだったしな。艦長もシンには感謝しているし、他のクルーだって、同じ気持ちだろう。…そうだな、それに」
それに
言いかけて、言い澱んで、レイは黙ってしまいました。
なになに? ってシンが顔を覗き込んでも、困った顔して黙ったまんまなんです。
気になります!
「なんだよぅ!」
シンが癇癪起こしたので、レイは仕方なく、でも、少し考えてから
「…シンが、かっこいいからもてるんだろう」
って!

かっこいい?!
かっこいいって強いってことです。
かっこいいって日本男児で、男前ってことなんです!
だってシンは、お父さんにそう教えてもらってますから知ってますよ!
「そか! 俺って男前なんだな!」
突き詰めればそういうことなのかと、シンは納得しました。
横で、ちょっとレイが困ったような複雑な顔してましたけどシンは気にしません。
自分が男前だからもてるんだってことが分かったので大満足!

男前⇒日本男児⇒秋田犬

これが、シンの中の絶対法則であります。
だからシンは、そのことを隊長……今のご主人様に大喜びで報告したんです。
「俺って男前なんだって! だからもてるんだって!」
ご主人様はにこにこして、それでシンをお膝に抱っこして頭を撫でながら、
「そうか。良かったな。俺もシンは男前だと思うぞ」
って!
ご主人様は深い緑の眼が綺麗でつよくてかっちょいいから、そんなご主人様に褒められて、シンはもう嬉しくて!
だって他の誰に褒められるより、撫でられるより、抱っこされるより、ご主人様に褒められて、撫でられて、抱っこされるのが1番嬉しいですからね、シンは。

そんな男前シンは、鎧兜で着飾ってますます男前になって、レイと一緒に写真を撮ってもらいました。
写真は、大きなパネルにしてリビングに飾りました。
それから、仲良しのみんなにも送りました。

で。

「あ、シン? 写真、ありがとう! レイもシンも、すっごく可愛く撮れてるよ!
 あたしとメイニャンの、旅行の写真も送るからね! 可愛く撮れてるんだから!
 見てね!」
By.ルニャマリア

「写真サンキュー! アスラン、腕上げたんじゃないか? 綺麗に撮れてるじゃん。モデルがいいのかなー。あいつらの写真ってさ、女の子受けするから助かるぜ。
ホラ、可愛いだろ? ありがたく、使用させていただくよーん」
By.ディアッカ

「アスラン、写真ありがとう。アバウト1.5頭身のくせに可愛く撮れてるね。ああ、レイも綺麗だと思うよ。でも僕としてはアスランの艶姿でも送って貰った方が嬉しかったかな。まぁ、次回に期待するから」
By.キラ

「アスランか。…いやその、キラの奴が変な電話して、すまん。写真、私も見たぞ! 凄く可愛かった! よく似合っていたなぁ。キサカがな、ああいうのを温泉施設に飾ってみたら面白いんじゃないかと乗り気なんだ。で、ジュール国防総監に是非資料を借りたいって言うんだが…お前からも話を通しておいてくれ。頼むな!」
By.カガリ

「わんこちゃん達のお写真ありがとう、アスラン。早速、執務室に飾らせていただきましたの。東洋の騎士様のお姿なのですってね。イザーク様は本当に凝り性ですこと。でもとっても可愛らしいですわ。こんな騎士様に守っていただけたら楽しいでしょうね」
By.ラクス

「アスラン君? ええ、私。写真ありがとう。レイ、とっても綺麗に撮れてるわね。シン君もすごーく可愛いわv でもムウがね、悔しがっちゃって。来年は、うちでも揃えるって言うのよ。そしたらレイが帰ってきた時着せたいんですって。あれってレプリカなんでしょう? 何処でお願いしたのかしらねぇ。あんな可愛い鎧兜作れる人が、まだいたのね」
By.マリュー

いろんな人が、お礼のメールやお電話をくれました。
みんな、可愛いって言ってくれます。……しか、言ってくれません。
はて?
「『男前』だと思うんだけどな」
不思議そうにご主人様が言います。
「お前はどういう風にその言葉を理解しているんだ?」
なんだか笑うのを一生懸命我慢している顔で旦那様が。
「えーっと…だから…『かっこいい』だろ?」
「なるほど? お前は小僧を『かっこいい』と認証できるわけか?」
旦那様に再度問われて、ご主人様は思わず、うーん…と唸って考え込んでしまいました。
シンは子わんこなので、子わんこっていうのは可愛いものなのです。
でもシンは男の子ですからね。
可愛いよりかっこいいの方が合ってるような気がするのですが…でも…。
真剣に考え込んでいるご主人様に近づいて、旦那様はそっと囁きました。
ご主人様の耳に。

「俺から見れば、お前も充分、可愛いが?」

たちまち。
その耳まで真っ赤になったご主人様が固まって、一部始終を見るとは無し見、聞いていたレイは溜息です。
シンは?

シンは、ですね。
今ポーズのお勉強中なのであります。
かっこいいポーズをとれば、男前って言われるとシンは考えたんであります。
さてアバウト1.5頭身の子わんこ、男前ポーズは開発されるのかどうか?

これはまた、後のお話であります。



おしまい





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