おっきすぎるんだよ！
シンは、子わんこです。
今日から、ジュールさん家の子になった子わんこです。
いえいえ、ジュールさんに貰われちゃったわけじゃありませんよ。
ご主人様のアスランさんごと、ジュールさん家の子になったんです！
さて、シンは、ご主人様に抱っこされて、ジュールさん家に来ました。
ジュールさん家はでっかいんです。
すげー！ってなっちゃうんです。
でっかいお家は、玄関もでっかい！
玄関ポーチの階段なんかね、一段がシンの胸くらいまであるんですよ。
でも、シンのご主人様は足が長いですからね。
そんなの、ひょいひょい登っちゃいます。
でっかいお家の中には、でっかいシンのお部屋もありました。
でっかいお部屋にちいちゃいベッド。
シンは、もう赤ちゃんじゃないから、一人で寝られるんですよ。
・・・えっとね。
おもらしなんかしないよ！
ほんとだよーーー！！
さてさて、大騒ぎの一夜目が明けまして。
旦那様の美味しい朝ご飯に、うぐうぐ子わんこのご機嫌もなおりまして。
なんだかお買い物に行っちゃった旦那様を放っぽって、シン、ご主人様と二人で、でっかいお家を探検ですｖ
まずは、おトイレの場所をもっかい確認したよ！
二階の、旦那様のお部屋は立ち入り禁止だってさ。
お隣の、ご主人様がお仕事に使うお部屋も禁止だって。
つまんなーい！
シンがじたじた癇癪したら、ご主人様は「しょうがないだろ」って言って、ひょい、とシンを抱き上げました。
「せっかく広い庭があるんだ。外に行かないか？シン」
しょうがないですね。
シンはじたじたするのをやめて、ご主人様とおっきな玄間からお外へ行きました。
ジュールさん家のおっきなお庭には、広い広いドッグラン。
シン、すぐにご機嫌になって、広いお庭を走る走る！
「アスランさーーーん！」
「あんまり遠くに行くんじゃないぞ。迷子になるからな！」
「なんないもーーーん！」
ててててーーーっと走るシンを見て、ご主人様は、ふと、荷物の中に入っていたフリスビーを思い出しました。
ここであれをやったら、シン、喜ぶかな
喜ぶよな。
だからご主人様、にこにこして、とりあえず荷物を仕舞ってあるお部屋へ行きました。
荷物は、もともとあんまりないんですけれど、旦那様が買ってくれたお洋服とか、ご主人様がねだられて買っちゃったシンのおもちゃに紛れてて、フリスビーはなかなか見つからなくて。
ご主人様、しばらく荷物をごそごそごそ。
さて、その頃の子わんこです。
走るのは、さすがに飽きちゃった子わんこです。
「アスランさーーーん！」
でも、お家を振り返ると、ご主人様はもういません。
あれ？
先にお家に入っちゃったのかな。
しょうがないご主人様だなぁ。
シン、ててっとお家に駆け戻ります。
ざわざわざわ。
木の葉の擦れるおとばっかりの、広いお庭にはシンしかいません。
ざわざわ。
てててーーーっ。
ざわざわざわ。
「あ・・・アスランさぁーーーん！」
ミトメタクナーイ！なんですけど。
絶対。ミトメませんけど。
シン、心細くなっちゃったんです。
お家に着いて、ご主人様が立ってたところに、かすかに大好きな匂いが残ってることに、ほっとして。
お家の中に、入ろうとして。
でも、シン。
あれれ？？ってなっちゃいました。
玄関の階段は、シンの胸くらいあるんです。
よいしょって前足をかけて。
じたじたしながら重いお尻を上・・・がりません。
ざわざわざわ。
なんだか、風が強くなってきたみたいです。
ざわざわざわ。
もう、後ろなんか振り返れません。
じたじたじた。
それでもお尻は上がりません。
じたじたじた。
じたじた・・・
ざわざわ。
「わーーーーん！」
シン、とうとう大泣きです。
「アスランさーーーん！」
「シン！？」
その声を聞きつけて、やっとフリスビーを見つけたご主人様が慌てて玄関から飛び出してきました。
「どうしたんだ？」
「わーーーん！！」
階段の一番下にしがみ付いて、わんわん泣いてる子わんこに、ニブニブなご主人様も、あっという間に事態を察してくれます。
「ああ・・・登れないのか」
おっきなおっきなジュールさん家のおっきいおっきい玄関は。
ちいちゃいシンには、おっき過ぎたのです。
ご主人様は、ぴょんと階段を飛び下りて、わんわん泣いちゃってるシンを、ひょいと抱き上げてくれました。
「アスランさん行っちゃやだーーー！」
「ごめん、どこにも行かないよ」
「ざわざわってするーーー！」
「空気を攪拌する時間なんだよ。すぐに止むさ」
わんわん子わんこをあやしながら、ご主人様は、携帯を取り出して、お買い物中の旦那様にお電話しました。
「イザーク、サニタリーを頼む業者には、もう連絡は入れたのか？・・・そうか、良かった。もう一箇所、直して欲しいところがあるんだ・・・・」
そうして。
子わんこシンのおむつがやっと取れる頃。（おむつなんかしてないもん！）
工事中、仮に付いていたちいちゃな歩幅の階段が取っ払われて。
玄関に二つある外階段の片一方は、完全にスロープになりました。
名付けて『子わんこ坂』！
だって、子わんこのための坂ですもんね！
ちょっと急だけど、これならシンも登れます。
途中に、休憩用のベンチも作ってもらったよ！
「・・・まあ、バリアフリーにしたと思えば・・・・・・」
旦那様が何かぶつぶつ言ってますが、子わんこそんなこと気にしません。
ご主人様もね！
「これなら三輪車でも登れるな、シン」
「うん！」
「・・・進んどらんぞ」
「進んでるもん！！」
この後、子わんこ坂は、シンが旦那様の書斎から持ってきた『そろばん』でスケート大会（出場者、シンのみ）に使われちゃったり、ご主人様が、新作ハロを転がして耐久実験をしていたり。
色々使えちゃったので。
「貴様ら、何やっとるかーーー！！」
よく、旦那様に怒られちゃってますｖ
せお様が踏まれました、子わんこ板のカウンター「わんわんわんわんわん！（１１１１１）」のキリリクですー！