ぴかぴかどんぐり
シンは、子わんこです。
シンのお家はジュールさん家です。
ジュールさん家は広いです。
お庭に、森まであります。
森には、いろんな木が生えてます。
どんぐりの木も、生えてます。
シンは、どんぐり拾います。
大きいどんぐり、小さいどんぐり。
まだ緑のもあったよ。
帽子被ってるのもあるよ。
レイも手伝ってくれてるよ！
「シン、虫がついているのはやめろ。元隊長は、そういうのはあまり得意ではないらしいからな」
「そっか！アスランさん『くぁずぎらい』だもんね！」
それに、虫付きどんぐりは、穴も開いちゃってるしね。
だからシンは、キレイなどんぐりだけ、拾います。
ぴかぴかどんぐり、拾います。
『虫は食べなくても嫌いだろう』と思ったレイも、黙ってどんぐり拾います。
「シーン、レーイ、おやつだぞ、どこ行ったー？」
遠くで、ご主人様の声が聞こえました。
シン、どんぐり拾うのやめました。
いっぱいいっぱい、いっぱいのどんぐり。
いっぱい抱えて、走りました。
「アスランさーーーん！」
「シン、落ちてる」
落っこちたどんぐりは、レイが拾ってくれました。
拾った時、側に咲いてたお花も、摘みました。
今日のおやつは、ゴーカなおやつだって知ってます。
今日はご主人様のお誕生日ですからね！
ディナーはごちそうで、デザートは桃のケーキなんです。
でも、ケーキの余りの材料で、おやつだってゴーカなんです。
でも、その前にね。
「アスランさん、どんぐり！」
アスランさんにプレゼントあげなくっちゃね！
「えーと・・・うん。ありがとうな、シン」
でも、前に虫付きどんぐりもらっちゃったご主人様はちょっとびくびく。
「今度は虫いないもん！ぴかぴかだもん！」
「・・・そうか」
ムキになっちゃったシン頭を、ご主人様は慌てて撫でました。
「ありがとう。ホントだ、ぴかぴかだな」
「うん！」
シンのご機嫌は、すぐに治りました。
大きいどんぐり、小さいどんぐり。
太っちょどんぐり、スマートどんぐり。
いーっぱいのどんぐりに、ご主人様もにっこにこ。
「じゃあ、後でやじろべえ作ってやるよ」
「うん！あのね、コマも！」
「わかった、コマもだな」
コマはね、太っちょのどんぐりがいいんだよ！
「レイは何がいい？」
ぴかぴかどんぐり摘まみ上げ、ご主人様は遅れて来たレイに言いました。
「いや、俺は」
「首飾り作ってやろうか」
「いえ、いりません。だいたいそれは貴方へのプレゼントですが」
「ああ、そうか。レイもありがとな」
「いえ・・・」
レイはちょっと困ってから、シンにどんぐりを渡して、お茶を入れる旦那様のお手伝いに行きました。
シンの落としたどんぐりを、拾うついでに摘んだ花は、結局シンのご主人様へは渡さずに、透明なコップに入れて、テーブルに飾りました。
ご主人様はそれを見て、「綺麗だな」って笑いました。
いっぱいいっぱい、ぴかぴかどんぐり。
テーブルの上に、小さなお花。
「こんなプレゼントもらったの、初めてだ」
おやつの片づけに立った旦那様に、ソファに寄りかかったご主人様が、こっそりこっそり言いました。
お声が、ちょっと涙ぐんでます。
子わんこたちは、コマを作るのに、丁度いいどんぐり探してます。
どんぐりこっとん、床に落ちて、ころころころころ転がります。
「フン」
旦那様はちょっと笑って、落ちたどんぐり拾いました。
「貴様には似合いの品だろう」
「そうかな・・・」
旦那様から、ぴかぴかどんぐり受け取って、ご主人様は呟きました。
「アスランさん！これで作ってー！」
てこてこやってくるシンの後ろで、またまたことこと、どんぐり床に落っこちます。
ぴかぴかどんぐり、お花のテーブルから、溢れて。
「そう、かな」
溢れて、ご主人様の手の中で。
また、ぴかぴか光ります。
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