君の指に、銀の指輪 ２
最初は、キスから。
それは、いつものお約束。
ていうか、そうしないとアスランさん怒るし。
その先、させてくれなくなるし。
ちゅく、と音を立てて深いキスを終わらせると、アスランはもう、とろんとした目でシンを見上げていた。
「アスランさん、えっちい顔」
「えっちい・・・って、何が」
とろけた瞳が睨んでくると、もっとえっちい顔になる。
「ん、カオ」
そう答えて、シンはアスランがまた何か言う前に、もう一回ちゅうっとキスをした。
はじめはむぐむぐ言っていたアスランも、舌先を幾度か舐めてあげれば、すぐにキスに応えてきた。
えっちいアスランさん、大好き。
パジャマの上から体を探る。
どこが感じるかなんて、もう、全部知ってるアスランの体。
いっぱいいっぱいキスしてあげれば、感じないとこなんか、どこもなくなるイヤラシイ体。
やっぱり、大好き。
「ん・・・っ」
服の上からの愛撫がもどかしくなったのだろう。
アスランが、キスの下から呻いて身をよじる。
はいはいはい。
わかってます。
あんまりじらすと怒るから、はむっと唇噛んで、離して。
「脱がせてもいい？」
聞くと、こくんと頷くから、ひとつひとつ、ボタンを外す。
するよ、いいよ、って確認してても、お風呂に入ったアスランは、必ずパジャマを着込んでしまう。
まあ、脱がせるの楽しいからいいんだけどさ。
たまには、ハダカで待っててくれたら嬉しいなー、なんて。
思っても、言ったらきっとぶっ飛ばされる。
だからシンは、今日もアスランのボタンを外す。
外した後は、やっぱり着込んだアンダーをめくりあげて、胸にキス。
ふるふる震える先端の、その片方を緩く噛んであげると、甘い甘い悲鳴が上がる。
「あんっ」
びくん、とひきつった脚がシーツを蹴って、ゆるん、と腰が、イヤラシく揺れた。
「・・・こっちも？」
パジャマのウエストに指を引っかけて、ずるんと下まで下ろしてしまう。
このパジャマ、もうゴムが限界なんじゃないかな。
いつも、無理矢理引っ張り下ろしているのを棚に上げて、シンは思う。
今度、一緒に買いに行こう。
現れた下半身はもう反応を始めていて、シンはとっても嬉しくなった。
アスランが気持ちいいと、シンだって、気持ちがいい。
何をじっと見られているのかわかったのだろう。
アスランが身をよじって、体を半回転させた。
それでも、今度見えるのは。
「アスランさんのお尻、ヤラシ」
「ばか・・・」
くすくす笑って、足首に引っかかったパジャマを引っこ抜く。
肩にだけ、パジャマとアンダー引っかけて、お尻丸だしなアスランさん、とってもエロくって可愛いんだけど。
うっかりパジャマを汚してしまうと、洗ってこいって怒られるから、白い背中にキスしながら、全部脱がしてあげてしまうと。
白いシーツに横たわるアスランが、白い素肌に纏っているのは。
シンのあげた、銀色の指輪だけ。
「・・・シン？」
シたいシたいも忘れてしまって、思わず見とれて手の止まったシンに、アスランが、とろんと潤んだ視線をよこす。
「あ・・・、ごめんなさい」
ちゅ、ちゅっとその目元にキスをして、ついでに藍色の髪をかき分けて、ほの赤い耳朶にもキスをして。
「アスランさんがあんまりキレイで、見とれちゃって」
「・・・・」
まだ、唇に触れるか触れないかの距離にあった、キレイな耳が、真っ赤になった。
やっぱり赤いほっぺたを、隠すように枕に埋められて、もっと見たかったのにと思ったシンは、とりあえずそれをガマンした。
「顔隠しても、キレイだし」
そう言って、首筋から背骨、尾てい骨の方へキスをしていって。
よいしょ、と腰を持ち上げて、さらにその奥にも、キス。
「アスランさん、脚広げて」
「やってるだろ・・・」
「やってくれてないよ」
「お前が、やってるだろ」
「むー、アスランさんが自分でやって欲しいのに」
「バカ」
どこかかみ合わない会話はいつものこと。
立たせた膝を開かせて、すべすべの腿やお尻の感触を楽しみながら、もっと奥まで、キス、キス、キス。
ていうか、ぺろん。
「ん・・・っ」
ああ、アスランさん気持ちよさそう。
もっと、もっとしてあげたいな。
ぺろぺろ舐めて濡らしたそこを、人差し指でくすぐれば、抱いた腰がゆるゆる揺れて、そこもひくんと震えてみせた。
「アスランさん、ヤらしー」
「・・・黙れ」
アスラン踵の真後ろにあったシンの膝が、がつんと蹴られた。
ちょっと、痛い蹴りだった。
これ以上待たせたらマジやばい。
だから、慌てて指を突っ込んで。
昨日、開かれたばかりのそこは、ぬるんとそれを飲み込んで。
「ばっ・・・か、いきなり」
「欲しがったの、アンタだろ」
「そうじゃ・・・っ、あン！」
ぬっぷぬっぷと遠慮なく、カンタンに入る割には何気にきついそこをかき回す。
あー、アスランさんのナカ、きもちいー
早く、早く入りたいな。
でもまだちょっと、早いかな。
たっぷりと指を包み込む、柔らかな襞はユルユルだけど、きゅうっとすぼまった入り口は、やっぱりちょっと、きついかな。
そんなことを考えていると。
もう一度、今度は軽く膝を蹴られた。
滑らかな脚が動いたせいで、指が変な角度になった。
「んんっ・・・こら」
「アンタが動くからだろ、アンタが」
それでも、幾度も夜を重ねた仲だから。
アスランの言いたいことは、ちゃんとわかった。
「もう平気？きつくない？」
「・・・それ以上言ったら蹴るぞ・・・・・」
もう蹴ってんじゃん。
思ったけれど、言ったらもっと蹴られるから言わないで。
シンは、早く早く状態だった自分を、アスランのそこに押し当てた。
「入れますよー」
がつん。
あ、蹴られた。
じゃれ合い程度の蹴りなので、かまわずシンは、ナカに入る。
「ん〜〜〜っ！」
きっつきつの入り口を、ぐいーっと入ると、後はラク。
熱っつ熱つのナカは、きゅうきゅうシンに絡みついて、とってもとっても気持ちいい。
とにかく奥まで入れきって、とりあえずほうっと一息ついて。
それから軽く揺すってやれば、早くも、長い指がシーツを掻いた。
「気持ちいい？アスランさん」
「ん・・・もっと・・・・」
ああもう、ゼイタクだなぁ、アスランさん。
思わずにんまり笑いながら、シンはアスランの注文通り、『もっと』いっぱい動いてあげる。
「あ・・・・ああん・・・っ」
高く上げた腰にシンを飲んで、白い背中をほの赤く染めて。
気持ちよさそうに啼くアスランは、とってもとっても、キレイだ。
でも。
いつもよりも欲張りなアスランが、自分で腰を上げているのをいいことに、シンは腰を掴んでいた左手を離した。
そうして、シーツに爪を立てていた、アスランの左手にそれを添えた。
「あ・・・・・っ」
それが何なのかわかったのだろう。
シーツを離したアスランの手が、少し無理矢理手首をひねり、シンの指を掴まえて、握った。
指に感じる堅い感触。
しかしそれは、互いの体温を吸って、熱くて、熱くて。
薔薇色に染まって震える指に、シンのあげた銀色の指輪。
きゅうっと、同じ指輪をしたシンの手を、握りしめて。
「・・・アスランさん、イくよ」
たまらずシンは、残った右手で強く腰を引き寄せた。
やばい、スゴい。
早く、この人ん中、出したい。
「んっ、待っ・・・」
激しくなったシンの動きに、アスランは合わせるように腰を振った。
「俺も・・・」
うわぁ。
そんなこと、言わないでよ。
俺、もうガマンできない。
「や、あっ、シン、シン・・・・っ」
「っ、アスラン、さ・・・・」
シンが中に出すのと一緒に、アスランのナカがきゅうっと締まってふるふる震えた。
これはイったなと思って確かめれば、シーツがしとどに濡れていた。
「あ・・・・ん・・・・・」
余韻に身を震わせて、甘苦しい息をつくアスランの耳元で、シンは想いを込めて、ささやいた。
「アスランさん、大好き」
「・・・・ばか」
聞こえたのはそれだけだったけれど、恋人が変なところで照れ屋なのは知っていたので。
シンは、きゅうと手を握られたことで、満足した。
君の指に、俺のあげた銀の指輪。
その上に、俺の指が重なって。
ああ、幸せだなぁと思っていると。
「俺も、愛してるよ」
照れ屋なはずの恋人の大サービスに、シンはぎゅうっとアスランを抱きしめた。
とってもとっても、幸せだった。
終