・・・・・・・はっ！
XX Years later 〜 だいぶ、未来のお話 〜
シンは子わんこです。
なんと！
恋人ができた子わんこです！！
シンの恋人は、アスワンさんっていうんだよ。
とってもきれいな柴犬なんだよ！
さてさて。
シンの今回のお仕事は、貨物輸送の護衛です。
「示威行為、要するに、威嚇だ」
隊長の言ってることよくわかんないけど、威嚇ってなんかかっちょいいね！
うー、わんわんっ！って感じだね！
そうして、貨物船にくっついて着いた先は、フェブラリウス・スリーでした。
アスワンさんがいるところだ！
「隊長、たいちょー！！」
「わかっとるわ。休暇申請を出せ」
「うん！レイー！」
「自分で作らんか！」
「だってー！」
早くアスワンさんに会いたくって、ぶーぶーの子わんこ。
「貴様も恋人が出来たのなら、もう一人前だろう」
「うん！」
「一人前なら、このくらい自分でやれ！」
隊長に怒られながら、シン、レイに教わって、自分で休暇届作ったよ。
一人前だよ！
「出航は明日１４００だ。補給の進捗しだいで遅くなるかも知れんが、一時間前までには艦に戻っておけ」
「わかったよ！」
元気にお返事したシンは、ぴって敬礼もしたよ！
隊長、珍しく頭撫でてくれたよ！
「子供が一人前になるのを見るのは、存外良いものだな」
満足げな隊長の後ろで。
「そうでしょうか・・・・」
休暇届のデータを保存したレイが、なんだか疑わしげにしてました。
「アスワンさーん！待ったー？」
「ううん。俺も今終わったところだよ」
待ち合わせは、基地の正門前。
アスワンさんのお家は、基地を出てすぐのところにあるんだって！
「独身用の宿舎だから、ちょっと狭いけど」
「俺、狭いの好きだよ！」
ベッドの下とかね！
「そうか、良かった」
にっこり笑ったアスワンさん。
それからちょっと顔を近づけて。
シンも、初めてじゃないもんね。
ちゃんと、ちゅうｖしたよ！
「行こうか」
お手手繋いで、初めてのアスワンさん家。
アスワンさんのお家はね、シンの、ブリュンヒルデのお部屋みたい。
でも、ベッドはもっと大きいな。
そいで、ちいちゃいキッチンが付いててね。
作り付けの台に乗っかったアスワンさんが、シンにご飯作ってくれたんだよ！
「ハンバーグは、目玉焼きが乗ってるのがいいんだよね？」
「うん！チーズもいいんだよ！」
「両方乗っけちゃおうか」
「いっこづつで半分こしようよ！」
ハンバーグと、まあるいパンと、甘ーいドレッシングのサラダと、デザートには、もちろんアイス！
とってもとっても美味しかったんだよ！
ごはんの後は、いちゃいちゃタイムｖ
もっかいちゅぅもしちゃったし、アスワンさんのお膝にも乗っちゃった。
そしたらね。
「シン、お風呂入るかい？」
ってアスワンさん。
「うん！」
シン、元気良くお返事してから、アスワンさんの後を、ちょこちょこ付いてったんだ。
アスワンさんと、一緒にお風呂ｖ
でもね。
「ああ、そうだごめん。うちのお風呂、狭いから。一人しか入れないんだよ」
普通のコーディネイタードッグ用だから、無理すれば入るけど、危ないよ？
アスワンさんに言われて、子わんこ、ちょっぴがっかりです。
でもでも。
「じゃあ、アスワンさんが先に入りなよ！」
こういうのは譲るもんだって、確か隊長が言ってたよ。
れでぃふぁーすとって言うんだよ！（惜しい！）
「ありがとう。じゃあ、先に入ろうかな」
アスワンさんもにっこりしてね。
シン、アスワンさんがシャワー浴びてる間、大人しく待ってたんだよ。
シャワーから出てきたアスワンさん、なんだかとってもキレイだったよ！
白くってもこもこするバスローブ、その下からする匂いがね。
「いい匂い〜ｖ」
「シャンプーの匂いかな。桃の匂いのやつ使ってるから」
「俺も使っていい？」
シンも、おんなじ匂いになりたいな。
「もちろん。あるものは自由に使ってかまわないから。ああ、俺の尻尾用のブラシこれ」
シンは全身毛皮着てるからね！
「顔はこれで洗うといよ」
「わかったよ！」
ひとりでお風呂に入ったシンは、遊ばないで、ちゃんと洗って出たんだよ。
だって、一人で泡あわして遊ぶより、アスワンさんと一緒の方が楽しいもんね！
さて。
お風呂から出た子わんこ、ちゃんとタオルでふきふきして。
ててててーーーって、アスワンさんが待ってるお部屋へ出てったよ。
お部屋のテーブルの前には、アスワンさんいなかったけども、ベッドの上に、ぴんと立った黒いお耳をはっけーん！
「アスワンさーん！お風呂出たー！」
一人でちゃんと入れたんだよ。
バスタオルで、お尻尾までちゃんと拭けたんだよ！
にっこにこでご報告しようとしたシンは、よじよじ、ベッドをよじ登ります。
どーしてもちいちゃいシンにとって、ベッドはよじ登るものですからね。
ぜんぜん、大変なんかじゃありませんよ。
よじよじよじ。
よじ登って。
お顔がやっと、ベッドの上に出て。
・・・・・・・はっ！
子わんこシン、固まりました。
シーツを引っ掴んだままの肉球も、そのままかっちり固まります。
アスワンさん、ハダカンボー。
とってもキレイな、ハダカンボー
白ーいアンヨと白ーいお腹、白ーいお胸に、ぴんくがふたつ。
アスワンさん、ハダカンボー
とってもかっちょいい、はだかんぼー・・・・
シン、くらぁってなっちゃって。
ぽとん、と、ベッドの下に、落ちちゃいました。
その、シンのお顔を見て。
アスワンさん、わかっちゃいました。
わかっちゃった、ので。
もそもそと、バスローブを着込んで。
落っこちちゃったシンに、ベッドの上から、手を貸してあげます。
「どこか痛くしなかったか？」
「あう！わぅ！してないよ！！」
元気にお返事、子わんこシン。
アスワンさんの白い手に、ベッドの上に上げてもらって。
「あのね、あのね」
「うん、なんだい？」
「ハダカンボーは、風邪ひいちゃうんだよ！」
だって、アスランさんがそう言ってたもん！！
「・・・・うん、そうだね、気をつけるよ」
こっくり頷いたアスワンさん。
そのまま、シンと一緒にベッドの中。
眠れないかもー！とか思ったけども。
ふくふく、ぬくぬく子わんこ抱っこしてたら。
あっという間に、夢の中。
子わんこと一緒に、夢の、中。
翌日。
一日、お休み取ったアスワンさん、しがみ付いてイヤイヤしちゃった子わんこシンを、やさしくやさしく見送って。
それから。
ジュールさん家に、ダイレクト通信かけました。
シンから聞いた話だと、ご主人様は、今日もお家でお仕事のはずです。
「やあ、久しぶり。シンは昨日、そっちに行ったかな？」
子わんこシンのご主人様、ちょっとお目目が赤いです。
起しちゃったかな。
でも、すぐ通信に出たし、徹夜とかしちゃったのかなぁ。
「ええと、お休みでしたか？」
「いや。今起きたところなんだ、気にしないでくれ」
なら、良かった。
「あの、すみませんが、シンのことで伺いたいことがあるんです」
アスワンさんはそう言って、昨日のことをお話しました。
それを聞いたご主人様、深く深く瞑目して。
「・・・・・ごめん、その、あの子、ちょっと・・・・・いろいろ遅くって」
子わんこですからね。
遅くっても仕方がないですね！
「でも、あそこで固まったってことは、全然わかってないって訳じゃないと思うんです。だって、前に一緒にお風呂に入った時には、何ともなかったんですし」
力説するアスワンさんに、ご主人様も頷いて。
「そうだよなぁ。ああ、あれでも一応勃つんだよ。前に風呂入ったとき、ピコンってなってたから」
「それを聞いて安心しました」
アスワンさん、ほっと胸を撫で下ろし。
「でも、咥えてやったら泣いちゃったんだ」
それを聞いて、学習します。
ぱくん、はダメだな。
じゃあ、どこからすればいいかなぁ。
アスワンさん、なんだかウキウキしてきちゃいました。
だって、可愛い可愛い子わんこシン。
あの子。
「あの子、俺がおとなにしてあげて、いいんですよね？」
「もちろん、よろしく頼むよ」
ご主人様にそう言われ、アスワンさんも、にーっこり！
「俺、頑張ります！！」
そう宣言したアスワンさんの、黒いしっぽがぱたぱた揺れて。
ご主人様も、にーっこりｖ
ああ、この子がシンの恋人で良かったな。
シンのこと好きになってくれて、良かったなって。
そう、思いました。