あまから
「おい、アスラン」
「寄るなこの馬鹿！」
お部屋まで追っかけてきた旦那様を、奥様はしゃーっ！っと威嚇しました。
「お前が何食べようが勝手だけどな、俺が嫌なのわかってて、何で持って帰って来るんだ！」
旦那様も、負けてはいません。
「自分の家でゆっくり楽しみたいからだ。だいたい貴様も嫌なら何故見に来る！？」
「見に行ったわけじゃない。コーヒーを淹れに行っただけだ」
ご主人様、胸張ったけど。
「嘘だな。そういうことに関してだけは、貴様は鋭い」
あっという間に見破られちゃいました。
ご主人様は、むーっと嫌な顔をして、どっかり椅子に座ります。
「・・・確かめないと、嫌なんだ」
見ちゃうと嫌なのはわかってても、確認しないと気持ち悪いんです。
気になって仕方がないんです。
「それでいちいち騒ぐなよ」
呆れた旦那様の声に、また、むーっ
「俺だって騒ぎたくなんかないさ。大人げないってわかってる」
騒いだ後は、いつだって自己嫌悪なんです。
シンの教育にだって悪いしね。
でもでも。
「でもどうしても駄目なんだから、お前も少しは考えろ！」
涙目になった奥様の、翠の瞳に睨まれて。
旦那様、ちょっとドキドキしちゃいました。
軍人を辞めて、MSに乗らなくなって。
のんびりのたのた。好きなお仕事してる奥様は、旦那様にとって『平和の象徴』みたいなもんなんです。
でもでもやっぱり、こーゆー必死な奥様が。
やっぱり好きだなぁなんて。
思っちゃうともう止まりません。
「・・・考えてやらんでもないが」
旦那様、奥様にぐい、とお顔を近づけました。
奥様、ずる、と後ずさりました。
にっ、っと笑ってる旦那様は、なんだか子供みたいで可愛くてカッコ良くって。奥様、とっても好きなんですけど。
でもでも、なんだかちょっと、イヤンな感じー！
「貴様も、多少は見て見ぬ振りくらいしろ」
「だから、出来たらとうにしてる・・・っ、ン」
チューは、ちょっと「あまから」のお味。
イナゴの佃煮のお味です。
「アレ食べた口で、キスするな」
奥様、そんなこと言いながら、旦那様の首に、ぎゅ。
「フン、ならこっちで口直ししてからだな」
旦那様、ご主人様のほっぺにもっかいチューしてから、する、ってご主人様の腕の中から抜けちゃいました。
「こっちって・・・こら！」
それで、奥様のズボンの前開けちゃって。
子わんこみたいな大きな口あけて、ぱくん、って。
「んふ・・・っ」
思わず、変なお声出ちゃった奥様、慌ててばっちん、旦那様のアタマを引っ叩きました。
引っ叩いて、それで。
「あんっ」
旦那様の頭も動きますから、歯なんか立てられちゃって。
「やめろ馬鹿者」
お顔を上げた旦那様、今度はわざと。
あぐ
「んぁ！・・・こ、のっ、覚えてろ！」
ばたばた暴れる奥様の、バランス悪い割には見事な蹴りを避けながら、旦那様、スキを突いて腰を抱いて、奥様のおズボンをずるり。
「ん、あんっ！」
そうして、甘いアンヨに噛み付いて。
旦那様はご満悦。
ナカに指なんか入れてみたらね。
きゅうきゅうしてて、とっても気持ちよくってね。
ぐちゃぐちゃって動かしたらね、奥様、あんあん啼いちゃうしね。
「腰、上げろ」
「こんなところで・・・」
「出来るだろ」
旦那様の、とっておきの良いお声に、奥様の意地も腰も砕けちゃいます。
「ん・・・」
ずるりと背もたれずり落ちて、大人しく浮かされた腰を、旦那様、きっちりキャッチして。
「んぁ！んっ・・・・」
奥のほーまで入っちゃえば、奥様だって、旦那様にきゅうきゅうしがみ付いて。
「くっ・・・・こら。無駄に動くな」
「なら、お前が、っ、ちゃんと動け！」
「動いとるわ馬鹿者――！」
旦那様の奥様は、ね。
甘いけど、甘いだけじゃないの。
「そこじゃないって言ってるだろ！」
「うるさい！良くしてやるから黙ってろ！！」
甘くて、しょっぱい。
『あまから』のお味。
旦那様の大好きなお味なんです！