ご主人様とお休みｖして３日後 甘えん坊将軍’ｓ 初出 2006/07/03

シンは子わんこです。 ちょっととっぽいけど、強くて綺麗で優しいご主人様が好き好き大好きｖ　であります。 そんなご主人様と、シンは２人っきりのお休みの間、いーっぱい遊びました。 フリスビーしました。 ご主人様は上手に遠くに投げてくれます。 一度、あんまり高く遠く飛ばされちゃって、シンはそれを一生懸命追っかけて、それで、柵を越えちゃって、それで、 ポッチャン ってお堀にはまってさぁ大変！　にもなっちゃいました。 エアポケバイもタンデムしました。ホントはご主人様の足は地面についてて、走るバイクに跨ってただけなんですけどね。 ゲームはね。 ゲームはオセロもしましたけど、シンはチェスも教わりました。 でもまだよく覚え切れません。難しいんです。 でもオセロより駒がおっきくってかっちょよくって、シンはわりかし気に入ってます。 でもどうしても途中でわかんなくなっちゃう事があって、 「もういいよ！」 って、ひっくり返ってアンヨをじたばたさせるとご主人様が呆れたみたいにちょっと笑って。 「そういうトコばっかり似るなよ」 だって！ 誰になのか、シンには分からなかったんですけど。 あと、みんなでお庭に植えたアジサイは、お休みの３日間でとても綺麗にいっぱい咲きましたよ。 アジサイはどんどん大きくなってしまって、今ではシンより高いです。 シンには、アジサイのトンネルです。 入って出てくると、シンの毛皮にはでんでんむしがくっついてることがあります。可愛いです。 小さい青い花がいっぱい集まって、ボールみたいな大きい花になるんです。 ご主人様と一緒に見ました。 透明な、可愛いでんでんむしもめっけました。 ご主人様と、めっけました。 そうしておやすみなさいの時はご主人様と同じベッドで一緒に寝ました。毎晩ですよ！ しかも『あすランさん』も一緒なんです。 ご主人様はいい匂いがします。ご主人様にギュゥってしてもらうのは、凄く凄く気持ちがいいです。 大きな手で撫でられて、お礼にほっぺを舐めてあげて。 おはようもおやすみも、それから他にもいっぱいいっぱいチューしてもらっちゃって。 子わんこシン、ハニームーンｖ でも４日目のお昼にシンとご主人様が旦那様の用意しておいてくれたお昼ご飯を食べ終えた頃、当の旦那様が帰ってきました。 旦那様とレイは、シンがお休みの間もお仕事だったのです。 レイのＭＳ『オルトロス』は凄く繊細で微妙な調整が必要なので、それでファクトリーに行っていたのです。 シンとご主人様と、２人っきりのお休みはおしまい。 でもシンは日本男児ですからね。！ ちゃんと旦那様とレイを玄関までお出迎えしますよ！ それにご主人様と２人っきりも大好きだけど、みんな一緒も大好きですからね！ 強がりじゃないですよ！ 「おかえりなさーい！」 だだっ広い大廊下を駆けて玄関まで、シンはお出迎え。 旦那様は白い隊長服で、いつもの鞄を下げて帰ってきました。 「あれ？」 シンは首を傾げました。 レイが、いません。 でもシンがそのことを聞こうとする前に旦那様ったら、 「どうだ、小僧。アスランにたっぷり甘えられたか？」 って、シンの頭をポンポン叩いてニヤリとしながら言うんです。 「甘えてないよ！」 シン、抗議。でもそれは明らかに嘘プーですけど。 「そうか？　随分、甘ったれの顔になってるが？」 「甘えてないもん！」 せっかくシンがお出迎えに来たのに、旦那様ったら意地悪です。 旦那様の愛情表現は、ガキ大将タイプなんです。 あれですね。好きな子ほどいじめたがるって奴ですね。困ります。 だってシンは子わんこなので、そういうの、分からないんです。 だからさっさと回れ右して駆け出して、やっぱりお出迎えに出てきたご主人様に抱っこでギュウってしがみついて。 旦那様なんか見てあげないのです。 「なんだ、やっぱり甘ったれじゃないか？」 「ちがうね！」 「からかうなよ。お帰り、イザーク」 苦笑して旦那様をたしなめつつ、ご主人様、お出迎え。 最近のご主人様、旦那様がオーブでいっぱい買ってきた浴衣を着てます。凄く似合ってます。 ご主人様はお料理以外は器用になんでもできるので、帯だって、ちゃんと自分で結べるんですよ。凄いのです。さすがです！ なんだか洋服の時より綺麗で、シンは浴衣のご主人様が好きです。 旦那様も好きみたいです。 満足そうに、笑います。 「レイは？　どうしたんだ？」 シンの聞きたかったことをご主人様が聞いてくれました。 「ああ。地球に送り届けてきた。１週間後にＬ１で合流する」 「フラガさんのトコか」 「ずっと詰めっぱなしだったからな。あいつにも”休暇”は必要だ」 そう言って。旦那様はご主人様と並んで歩きながら拗ねわんこの頭をぽんぽん。 実は今回のシンだけのお休みにはちゃんと理由があるのです。お仕事の都合だけではないのです。 シンは、ＭＳのパイロットでザフトの軍犬だけど、でもやっぱり子わんこなのです。 本当は、お友達といっぱい遊んだりケンカしたり、お父さんやお母さんに甘えたり叱ってもらったりして成長する時期なのです。 なのに、そんな時期に大好きなご主人様と長く離れて緊張の続く場所でお仕事ばかりしていると 子わんこ、ビョーキになっちゃうんです。 『アスランさんシック』になって泣きわんこなんです。 アスランさんを捜して、寝ぼけて、『ブリュンヒルデ』の中を歩いていたりするんです。 子わんこのストレスが溜まると健康に良くありません。それに『ケルベロス』の操縦にも支障が出ます。 なので、隊長である旦那様は時々スケジュールを調整して、シンがご主人様と２人だけになれるようにしてあげてるんです。 隊長って大変なのであります。 レイも、今頃は、地球のご主人様と奥様に、甘えているのかな。 「…………」 不意に、、抱っこされてるシンを旦那様は怪訝そうに見つめます。 が、取り敢えずは何も言わずに、そのままダイニングキッチンに入りました。 「冷えてるならなんでもいい。一杯くれ」 「市販のでいいなら、オレンジジュースがあるけど」 「かまわん」 ご主人様はシンを椅子に下ろしてキッチンへ。 「俺も飲むー！」 シン、ちゃっかり便乗。 そんな子わんこを、やっぱり旦那様はちょっと厳しい目で見下ろして…。 「…たっぷり遊んだか？」 って。 いっぱいいっぱい遊んだから、シンは素直に、 「うん！」 ってお返事しました。 「フリスビーしたよ！」 「そうか」 「ポケバイも乗ったー！」 「そうか」 「あとね、俺、チェス習った！」 「良かったな」 ご主人様がオレンジジュースを持ってきました。ちゃんとシンの分も。 シン用のプラスチックマグを先にテーブルに置いて、旦那様にグラスを手渡して、 「公園にも行ったよな」 って。 「うん！ハトいっぱいいた！」 ハトの群れに突っ込むのは、子わんこのちょっといけない趣味ですｖ 旦那様はジュースを一気に飲み干して、グラスをテーブルに置いて、それから、珍しくにっこり笑って、 「公園近くのレストランなら、ハンバーグだな」 って。 「おいしかったー！！」 シン、元気に。 でも何故だかご主人様が固まって、旦那様、笑顔なのに額に青筋が…。 「当然、イチゴのショートケーキか…」 「あのね、イチゴの、なかったんだよ。だからね、アイスの、おっきぃの食べたー！　チョコの奴！」 「…なるほど…。で、見事に丸くなった…と」 何が丸くなったのかな？ シンはわかんなくってキョトンとしてしまいます。 そしてご主人様はさらにもっと固まってますー！ 「まぁ、お前に罪を問うのは酷と言うものだろう。出されれば食うのが飼い犬だからな。…だが」 旦那様、くるりとご主人様を見返ります。 もう笑ってません！ 「管理を怠った責任は、飼い主が取るべきだと思わんか？　アスラン・ザラ」 「や…その…イ、イ、イザーク…落ち着いて…」 「言い訳は聞かん！」 旦那様、急な展開であわあわのご主人様を、ヒョイっと肩に担ぎ上げてしまいました。 子わんこびっくりー！ そうしてそのままズカズカと足音荒く、寝室の方へ行ってしまいます。 「待てってイザーク！　わ、分かるけど！　お前の言うことも分かるけどー！」 「なんかむかつくから止めんか！」 ギャアギャア言い合いながら２人が見えなくなっちゃって、慌てて追いかけたシンが大廊下を曲がった所で、 バッタン！ って、寝室のドアがしまっちゃいました。 旦那様が怒ってて、ドアを閉めると、お外からは開かないんです。 「ずるーい！」 シン、抗議でドアをてしてし叩きましたが、中からは何やらドタバタしている音が聞こえるばっかりです。 シンは、諦めました。 しょーがないですね。 旦那様もずーっとご主人様と離れてたから、ご主人様に甘えたいのでしょう。 シンは、日本男児なので、ちょびっとだけ、旦那様にご主人様を貸してあげることにしました。 でもちょっと、ぴすぴす、なのです。 で、お隣の自分のお部屋に入って、ハロとあすランさんと遊んでいる内に、寝こけてしまって。 お隣で何が起こっていたかなんて、子わんこ知りませんよ。 子わんこシンがお目目を覚ましたのは、ちょうどおやつの時間でした。 さすがです。 シンはとことこダイニングキッチンに向かいます。キッチンには、旦那様が、もう普段着姿で立ってました。 ご主人様は、まだお昼寝なのかな？ ご主人様、いっぺん寝ちゃうとなかなか起きないんだ。後で起こしに行こう！ 「隊長、おやつー」 シンはキッチンの入り口で、ちゃんとお座りしておねだりです。 「さっきのオレンジジュースでゼリーを作った。急速で冷やしているからあと１０分我慢しろ」 「んー」 オレンジゼリー、大好きです。 シンはいい子で椅子に座って待つことにしました。 旦那様は考え中。 本日の夕食はヘルシーに。 まず海老と豆腐の中華炒め。副菜は鶏とキュウリの中華ドレッシング和え。卵スープ。 …デザートは、 「トマトのシャーベットでも作るか」 やれやれ。 折角、ダイエットしてた子わんこは、甘えん坊の３日間の内にちょっと元に戻ってしまっていたのです。 最初から、やり直しです。 旦那様が溜息ついてると、シンがまた、キッチンの入り口のトコにちょこっと顔を覗かせました。 「まだ１０分経ってないぞ」 「ちがうもん。…あのさぁ」 子わんこ、ちょっともじもじしてから、 「今日は、みんなで一緒に、寝るの？」 って。 旦那様、もじもじしているシンをキョトンと見て、それから 「『あすランさん』は椅子の上だぞ」 って、ニヤリと。また意地悪です。 でも、それじゃぁ、一緒に寝ていいってことだね！ シンは明るい顔になって、ご陽気にダイニングに戻ってゆきました。 シンがお風呂に入っている間に、ベッドメイクも済ませないといけないなって、旦那様は考えます。 ちょっとお子様が寝れるような状態じゃありませんし。 帰って早々、いろいろ忙しいけれど、旦那様はまんざらでもないってお顔で、ディナーの準備を始めました。 数十分後、おやつを食べ終えた子わんこがご主人様を起こしに行って。 それで、ディナーの時に、 「アスランさん、はだかんぼで寝てたー！　俺には駄目って言うのにずるいー！」 なんて子わんこの抗議を旦那様が受けて。 受けたのは旦那様なのにまたまた固まっちゃったのはご主人様で。 しかも真っ赤っ赤で。 それで肩を震わせてる旦那様に、ご主人様がなんか怒鳴っちゃったりして。 ジュール家、いつも通りの賑やかな夜は、みんなで仲良く一緒に、浴衣で寝ましたｖ 旦那様とご主人様のにおい。仲良しのにおい。 旦那様がいる時のご主人様は、なんかちょっと、いつもと違う雰囲気で。なんかちょっと、キレイで。 なんかちょっと、甘えてるみたいで。 そういうご主人様も、シンは好き好きだから。だからたまには旦那様にご主人様を貸して上げてもいいかな。なんて。 明日は旦那様とチェスしようって決めて、子わんこすっかり夢の中です。 子わんこの部屋へ戻る