うでまくら ２
まったく、子供の考えることはよくわからない。
ふごふごと胸に吸いつくシンの、以外と柔らかな黒髪を撫でてやりながら、アスランは思う。
それから、ごつんとその頭を拳で叩いた。
「こら、噛むな」
「だって」
「だってじゃない」
「わかりましたよ・・・」
腕枕だけさせてやればいいのかと思ったが、ソレとコレとはどうやらセットになるらしい。
さっき噛んだ胸の先端を、今度はぺろりぺろりと舐めて。
そうしてシンは、胸を掴まえていた指先を、そのまま下腹部に持っていく。
「噛んだら勃つくせに」
「その前からだバカ」
「え、いつ」
「知るか！」
何だよそれだの何だのと呟きつつ、するするとソレを撫でると、アスランの体がひくひく震えて、気持ちよさそうにしてるのがわかって楽しい。
でも、すぐに横から襲った膝に軽く蹴られて。
「そっちはいいから。早くしろ」
「え、でも気持ちいいでしょ？」
きゅ、と、指先で先端を押すと、アスランの腰がひくんと揺れて。
それなのにアスランは、むっとした様子を隠さずに。
「お前のでイきたいんだから、もうそっちやめろ・・・っ」
うわぁ。
ムカつくムカつくと思ってるトコで、急にそんな可愛いこと言われるのって、すっごい反則だよアスランさん。
睨みつけてくる、濡れた緑にも見惚れながら、シンはこくんと生唾飲んで。
「わかりました」
今度は素直にそう答え、ドキドキしながら投げ出された脚を、もっと大きく押し開いた。
白い体のその中で、一番白い内股に、夢見心地でキスをして。
その更に奥、アスランが、一番感じる場所に、触れていく。
「ん・・・・っ」
舐めて濡らしただけの指が、ずるりずるりと飲み込まれ、シンは思わず声を上げた。
「うわ、やらかい」
それから、感じてほんのりと赤くなったアスランの貌に目を移して、シンはうきうきと聞いてみた。
「もしかして、自分でしたりとかしました？」
「す・・・るかっ！」
誰がだこのバカと暴れたアスランは、シンの指先で、ぐいーっとナカの襞を伸ばされたところで、あんと鳴いて大人しくなった。
こゆとこ間抜けなんだよな。可愛いからいいんだけど。
「でもなんか、もう入っちゃういそうかも」
言いながら、ぐーりぐーりとナカを広げるようにかきまわすと、アスランは自分から、膝裏に手を入れて、いっそうソコを晒して見せた。
ものすごく、イヤらしい格好。
シンの目はそこに釘付けになった。
「・・・入る」
「え、ウソ、マジ？」
そう言われると、かえって心配になってしまうもので。
「ホントですか？痛くない？？」
くちくちと、入り口をいじってみる。
確かに、最初よりは柔らかくはなったけれど、それでもまだ、アスランに教えられたタイミングよりも固い気がする。
入れたらまだ、痛いんじゃないかな？
どうなのかな？
そう思ったところで。
「痛くても、いいから」
濡れてかすれて色っぽい声に、可愛く言われてしまっては、シンだってもうガマンできない。
「はいっ」
仕事中に聞けたことがないような良い返事をして、アスランの脚を抱え上げながら場所を合わせる。
「あ・・・シン・・・っ」
侵入ったそこは、入り口こそ、いつもよりキツかったけれど。
中、は。
しっとりと濡れたそこは、柔らかくシンを包み込んだ。
ずるずると奥まで侵入って行けば、アスランは、ふるふると身を震わせて、もう今にもイきそうな風情で。
「アスラン、さん」
そのアスランの、感じ入って伏せられた、睫がわずかに濡れている。
泣くほど気持ちよくなっちゃってるんだと、そう思うと嬉しくて。
その、スゴく色っぽい貌をのぞき込んで。
シンはいたずらっぽく囁いた。
「アスランさん、さ、イタイのも好き？」
だって絶対イタかったと思うんだ。
殴られるかな、と思ったけれど、それを聞いたアスランは、快楽に濡れた緑の瞳を、ゆらりと上げて。
「痛いのなんか、関係あるか」
そうして、まだ少し脚を支えていた腕を放し、ぎゅうっとシンの背中に抱きついた。
「お前だからいいに、決まってるだろ」
そんな、可愛いことを言ってくれるから。
だからシンも、頑張ってアスランを抱き返して。
可愛い恋人を満足させてあげなきゃと、頑張って腰を動かした。
アスランよりも、細っこいシンの、アスランよりも、細っこい腕。
それに、抱かれて。
こんなにも幸せなのは、なんでだろうと。
思ったところで、絶頂が来た。
答えはだいたいわかっていたから。
アスランは、気にしないでそのままイった。
少し汗ばんだ少年の腕が、やはり汗をかいた首に当たるのは、思ったよりも気持ちが良くて。
それから。
「思ったより安定するな」
「でしょう！？」
念願の腕枕にご満悦なシンは、そのまま恋人にキスをする。
しかし。
「ああ、首枕に丁度良い」
そう言われて、きょときょとと、近すぎて見づらい相手の体勢を確認して。
「首枕・・・って。あ、アンタちゃんと頭乗っけろよ。首じゃなくて、頭！！」
至近距離でわめかれて、アスランは面倒くさそうに顔をしかめた。
「でもな・・・なんだか潰しそうで怖いんだが」
「潰れませんよ！何言ってんですか！」
シンだって一生懸命だ。
ぐいぐいと、藍色の頭の下に腕を突っ込むと、確かにちょっとだけ重たいけれど、それよりも幸せが先に立った。
思わず、その頭を抱え込む。
少し、汗で湿った髪が、あちこちに当たって気持ちがいい。
寝ても立っても、いつも、アスランの方が頭の位置が高いから、この位置は凄く新鮮で、嬉しい。
でも、その頭は、相変わらず口やかましくて。
「でもお前、腕大丈夫か？痺れて明日使えないなんてことには・・・」
「いらん心配しないでください」
ぎゅむ、と抱き込めば黙るかと思ったら、アスランはそれでもくぐもった声で滔々と説教を垂れた。
「するに決まってるだろう。お前はパイロットなんだぞ」
「そんなん大丈夫に決まってんだろ！さっさと寝ろよアンタ！！」
苦しくて寝れないだの、離しますから大人しくして下さいだの。
もごもごと言い合いつつも、その晩はそのまま、腕枕。
腕だけではなくて、体ごと潰してしまいそうな感覚に、アスランはもうやめようと決心して。
シンは、見事に腕を痺れさせ、翌朝、そら見ろと怒られた。