月読の夜
月の、まあるく輝く夜、永泉のもとには、月読尊がやってくる。
「おや、待っていてくださったのですか？」
大人の、艶のある声を聞くと、もうそれだけでどきどきしてしまう。
とっても恥ずかしいのだけれど、嘘を言うわけにもいかないので、ぎゅっと目をつぶって、只々小さくなっている。それが相手にどう見えるかなんて、考える余裕はなくて。
くすり
小さく笑う声がして、やんわりと抱き寄せられた。侍従の香りと優しい力に、きゅうっと包まれて、どうにかなってしまいそう。
「目をあけて、愛しい人」
魔法の声に、体が勝手に言うことを聞いてしまって、おそるおそる開かれた瞳のその前には、友雅の美貌があった。
「今日もまた、お美しい」
嘘だ、と、永泉は思う。美しい女を見慣れている友雅に、他の誰よりもずっと美しい友雅に、自分がそのように映るはずはない。
でも、うれしい。
友雅が、そう言ってくれる。それが、嬉しい。
だから、精一杯それを言葉にすると、
「あまり、可愛らしいことを仰らないでください・・・・」
ささやきながら耳朶を噛まれて、体中から力が抜けてしまった。
友雅の手はとても器用で、永泉の夜着などあっという間に床に落とされてしまう。
人の前にすべてを曝してしまうなど、ほとんど経験のなかった永泉は、それだけで肌を桜色に染めてしまった。
自分の胸や背中や腕や脚や・・・あんな、ところや。触れられただけでこんな風に気持ちよくなってしまうなんて、友雅にしてもらうまでは知らなかった。
「んっ・・・・あ・・・はぅ、・・・ゃん」
このごろは、どこを触られても気持ち良くなってしまって、恥ずかしいのだけれど嬉しい。友雅が、作り変えてくれた体だから。もっと、もっと触って、自分が彼のものだということを、確かめさせて欲しい。
「もう、こんなになっていますよ・・・・達きたいですか？」
永泉は返答に困った。自分は体力がないから、あんまり達くとすぐに疲れて眠ってしまうのに。なのに、自分のそれはもう我慢できないと、いっぱいに主張をしているのだ。
「・・っ・・・はい」
喘ぎに紛れた、ちいさな返事を聞き取ってくれて、友雅の大きな手が永泉のものにかかる。薄紅に染まって、ふるふると震えるそれを、ちゅ、ちゅっと吸ってもらって、たちまちのうちに昇りつめてしまった。
「あ・・・・・」
ぺちゃ、ぺちゃ、と腹に散ったものを舐められる感触が、思考を霞ませる。それでも『人に何かしてもらったら、どうするのでしたか？』・・・前に教えてもらったことを思い出し、友雅のものに手を伸ばした。
口でするのは、この間教えてもらったばかりだ。初めてなのであまり上手にできなくて、とても悲しかったのを覚えている。だから今度は、と思っていたのに。
「永泉様、今宵は、そちらのお口はよろしいですから」
下肢から引き剥がされ、ころりと褥に転がされてしまった。起き上がろうと手をついたところで腰を引き上げられ・・・四つん這いの、恥ずかしい格好になってしまう。
「あ、やん・・・・・・」
いつも友雅を受け入れるところに、ひやりとした感触が垂れてきた。入ってくる準備をされるのがわかって、腰がふるりとふるえてしまう。くちゅくちゅと、入り口にぬりこめられて、ずる、と指が入ってくる。
「永泉様のここは、ずいぶんと物覚えが良いですね。」
ほら、指に吸い付くようですよ？
そう言う友雅の指は、永泉の悦いところを全部覚えていて、今も指で触れるいちばんいいところをくりゅくりゅといじっている。過ぎる刺激に、永泉はもう褥に突っ伏して泣きそうだ。
「もう、よろしいですね。」
「・・・っく・・・、ひんっ」
大きな、熱いものをあてがわれ、一瞬息が止まる。
「お教えしたでしょう？入れてもらうときには、どうするのでした？」
えっと・・・えっと・・・息を、吐いて・・・・力を・・・
「で、きなっ、は・・・ああああああん・・・・」
力を取り戻したものをするりと握られて、腰から力が抜けてしまった。とたんに熱いものにぐうっと押し入られてしまって。
「お上手ですよ」
いっぱいに、内側を押し広げられ、甘苦しさに涙がこぼれる。
「う・・・・うぅ・・・くんっ・・・・・」
声も出せずにのたうつ体を、非情にもぐいと起こされた。いっそう深く飲み込まされ、息も絶え絶えな永泉は、すっぽりと友雅の腕の中に収まってしまった。
「あ・・・・ふ、うぅん・・・」
そのまま、いちばん気持ちのいい方法で揺すられる。
友雅に弄られる内壁から、溶けていってしまいそう。
「ふ、・・・あん・・・・っく・・・と・・もまさ・・・ぁん」