ちいちゃいシン
アスランは凄く、セックスが好きなんだと思う。
自分の下で、気持ちよさそうに腰をくねらせている恋人を見下ろして、シンは思った。
「ん、あ、あぁ・・・・」
ねっとりと絡みつくアスランのナカが、きゅうっとシンを締め付ける。
どうしようもなく、『食われている』感覚。
でも、シンだって負けてない。
一生懸命腰を動かせば、アスランの喘ぎが高くなった。
「あ、あ、ああ・・・・っ」
びくんと背中が反り返る。
弾みで上がった胸の先、さっきまで舐めていた、胸の先端が、赤い。
腰を掴んでいた手を片方放し、そこをきゅうっと摘んであげる。
「あ・・・っ」
とたん、アスランは大きく身悶えて。
しっかりとシンをくわえ込んだまま、腰までふるんと揺するから、シンはぎゅっと歯を食いしばって、持っていかれそうになるのをガマンした。
「・・・・っ！」
そうすれば、アスランはとろんと濡れた緑の瞳で、とろんとろんとシンを見上げて。
そうして、とろぉん、と。
とろけるように笑うから。
脚を開いて、シンを飲んだそこを大きく晒し、シンを感じて、こんなに気持ちよくなってる、大好きな人。
その人を、もっと、もっと気持ちよくさせてあげなくちゃ。
満足させて、あげなくちゃ。
そう思って、シンはせっせ、せっせと頑張った。
そんな可愛い恋人を、とろとろと見上げながら。
アスランは、本当に気持ちよさそうに、啼いてないて、そうして、イった。
はぁはぁと、まだ、息が弾んでいる。
アスランの胸も大きく上下して、最中にも、凄く反応の良かった赤い先端がシンを誘う。
今、そこにキスしたらひっぱたかれるかな。
まだ、大丈夫かな。
そんな誘惑にふらふらしながらなんとなく顔を近づけると、アスランの方から手を伸ばして、シンの髪の間に指を突っ込んできた。
髪を梳かれるのは気持ちがいい。
そのままうっとりと引き寄せられて、胸じゃなくて、やっぱり赤く色づいた、唇の方にキスをする。
熱くなった舌をたっぷりと絡めると、凄く凄く気持ちよかった。
ちゅく、と、唇が離れる。
緑の瞳と赤い唇が、とろとろと笑って。
それから今度は、シンの首筋にちゅう、と吸いついてきた。
気持ちのいい場所に、的確に吸いつかれ。
快楽の汗を含んだ髪に、顎から頬をふわふわと撫でられて、シンはごくんと生唾を飲んだ。
あ、キスの後だから、ちょっとアスランさんの味するかも。
そう思うと、もっと、たまらなくて。
「あの、アスランさん」
緑の瞳が、ついと見上げる。
「もっと、ダメ？」
聞くと、その瞳が、淫らに笑んだ。
「・・・ああ、いいぞ」
もう一度、しなやかな体をシーツに倒す。
もう一度、気持ちいい体に、自分を押し込む。
「ん・・・・っ」
感じる襞を擦られて、アスランも、気持ちよさそうに喘いでくれる。
「あ・・・・ぁ」
本当に本当に、気持ちよさそう。
たぶん、ほんとに凄く、セックスの好きな、アスラン。
いっぱい動けば動くだけ、気持ちよさそうに啼いて。
何回でも何回でも、後ろだけでもイっちゃうアスラン。
だからシンは、時々、不安になるのだ。
「ねえ、アスランさん」
気持ちのいいナカで、シンを受け入れて。
自分も気持ちよくなってるアスランに。
「アスランさんって、さ・・・・」
そう言ってみると、とろとろの緑がとろんと見上げた。
気持ちいい、気持ちいいって言ってるみたいな目で、見上げてきた。
だから、シンは。
やっぱり、もっと気持ちよくしてあげなくちゃって。
口をつぐんで頑張った。
「・・・で、俺が何だって？」
「は？」
何回も何回もシて、満足げに寝転んでいたアスランにそう言われ、シンは本当に面食らった。
「だってお前、何か言ってただろ」
ああ、そういえば。
そんなこと、覚えてなくたっていいのに。
あんなにとろとろだった緑の瞳は、もう、通常営業の鋭さを取り戻し始めている。
それが、置き去りにされたようで悔しくて。
「アスランさんって、さ」
シンは、思わず言ってしまった。
「気持ちよくさせてくれるなら、誰でも良かったりします・・・？」
言ってから、シンは凄く後悔した。
凄く凄く、後悔した。
ダメじゃん、俺。
凄く凄く、ダメじゃん俺ーー！！
しかし、アスランはけろりとして。
よいしょとばかりに起きあがり、目元にかかった髪を邪魔そうに避けて。
それから。
「誰でも良かったら、お前なんか選ばないぞ」
そう言った彼の視線は、しっかりとシンの下半身に注がれている。
しかもそこで、何故だかうんうんと頷いた。
「お、お前なんかって何ですか！」
思わず叫んだシンの、真っ赤な瞳をちらりとだけ見て。
「だって」
そう呟いアスランは、また、視線を下に落とした。
「・・・・うん、誰でも良かったら、こんなのは選ばない」
こんなのって。
こんなのって。
じっくりとっくり、シンを見下ろすアスランは、また、うんうんと頷いて、それからへこりと首を傾げた。
「だいたい、なんでこんなので、あんなに気持ちよくなるんだろうな・・・・？」
こんなのって。
こんなの、って！
シンはもう、半泣きのヤケクソで呟いた。
「愛、とかじゃないですか？」
「ああ！」
そうすれば、アスランは全身で納得を示すように顔を上げ、満面の笑みを見せてくれた。
「なるほどな！」
「・・・・・・・っ！」
喜んでいいのか、悲しむべきなのか分からない。
だからシンは、その両方の思いを込めて叫ぶのだ。
「あ・・・アンタって人はーーー！！」
そうして。
アスランに、「うるさい」と言われて、殴られたのだった。