シャワーの音が聞こえる。

花月は､毛布を被ってきゅうっと丸くなった。

洗ってやろうかなどと真面目にのたまう恋人を置いて、先にシャワーを浴びてしまったので、すごく、ものすごく手持ち無沙汰だ。

こんなことなら洗ってもらえばよかったなどと、馬鹿なことまで思ってしまう。

だって、ただこうやってベッドに座っているだけなんて。

本当に、十兵衛がシャワーを終えて､ここに来て。

してくれるのを､待ってるみたいじゃないか。

シャワーの音が聞こえる。

長く住むつもりもなく借りた、安い部屋だからか､その音は妙に大きく響く。

もう、すぐに引っ越そう。

こんな、体の奥まで響くほど防音が悪いなんて、今まで知らなかったよ。

絶え間ない水音に、それが十兵衛のからだを滑り落ちるさまを想像してしまい､花月はベッドにぼふんと倒れ込み、ほてった頬をシーツに埋めた。

あああああああああもう。僕、こんなにえっちだった？

シャワーの音が止まる。

心臓のどきどきが止まらない。

ドアの開く音が聞こえて、十兵衛の気配が近づいてくる。

「何をしているんだ、花月」

深い声に、びくんと身を竦ませてから、花月はかすれた声でぼそぼそと言った。

「・・・・遅いよ、十兵衛」

「すまない」

そのまま毛布を剥がれて、優しいキスを受ける。

夜は、まだ始まったばかり。