present
その人の肌に、唇で触れれば、甘い感触が返ってくる。
それが気持ちよくて、しつこく繰り返せは、「くすぐったい」と、文句を言って、ペしんと頭を叩いた腕で、すぐにやさしく、シンを抱き締めてくれる。
ダイスキな、ヒト。
シンの、恋人。
「ね、明日あんた誕生日でしょう、何か欲しいものとかって、ありますか？」
散々愛し合った後、気だるい体を寄り添わせて。
甘えるように聞いてきた少年に、アスランはふい、と首を傾げた。
「・・・そうだっけ？よく知ってるな、お前」
「そうだっけって・・・・」
とにかく自分にかまわない人だとは知っていたけれど、誕生日まで忘れているなんて、信じられないとシンは思う。
「欲しいもの、か。お前がもう少し言うこと聞いてくれればいいんだがなぁ」
「聞いてるじゃないですか！」
今日だって、一緒にシャワー浴びてる時に、１回そこでしようとしたら、嫌だと言うからベッドに運んだ。
ゆっくりやれって言うから、すぐ突っ込みたいのを我慢して、ゆっくり、ゆっくりしてやった。
ちゃんと聞いてる。
・・・・たまに勝手はするけれど。
「まあ、マシになった方だよな」
「マシって何ですかマシって！！」
がう！と食ってかかったシンは、しかし自分を見上げるアスランの表情に、言葉を失った。
「お前がいてくれれば、十分だよ。何もいらない」
目を細めて。
本当にほんとうに幸福そうに、そう言って微笑う、アスラン。
何故か、急にたまらなくなって、シンは彼を、きつく抱きしめた。
少年の、あたたかくて、どこか必死な力のこもった腕。
それに、応えてやりながら。
アスランは、そっと、目を閉じる。
ここは。
寂しくない、安心して眠れる、しあわせな、場所。
帰る場所も、行くところもない俺だから。
ここだけが、世界でただひとつの、俺の居場所。
君が、ここをくれたから。
だから、それだけで、もう、十分。
「それじゃ、俺が嫌なんですってば・・・」
なのにシンは、そう言って愛おしげなキスを繰り返してくれるから。
アスランも少しだけ、欲張りになってみたくなった。
「そうだな。じゃあ、・・・・もっと、お前が欲しい」
「もっと・・・って、ええ！？」
驚いた少年の、こぼれそうな赤い瞳。
綺麗だ。
「欲しいもの、くれるんだろう？」
そう、悪戯っぽく笑って。
アスランは、シンにキスをする。
「はいっ！」
勢い良く答えたシンの手のひらが、それでも、やさしく肌を滑って。
また、熱を持ち始めた体のあちこちに、情熱的なキスが降りてきた。
「アスランさん、ここ、イイ？」
囁きながら、しなやかな脚を押し開き、その奥の、いまだ潤ったままのそこに、ゆっくりと指を差し込む。
「んっ・・・・」
やわらかく吸い付き、もっと、と誘う内壁に、抵抗感はまったくない。
その上、アスランは身をくねらせ、艶めいた眼差しで、シンを誘うから。
「じゃ・・・あげますね、アスランさん」
シンは、アスランの体を反すと、ぎゅっと後ろから抱きしめた。
これだと、顔が見えないけれど、今は、この人を抱きしめたい。
それをわかってくれたのか、いつもならば嫌がる姿勢だというのに、アスランも、自分から腰を上げてくれて。
少しだけ、離した体。
その隙間を埋めるように、シンは繋がる場所をまさぐって、濡れたそこと、熱い自分で。
ゆっくりと、繋がる。
ずるりと飲み込んだそこは、もう何度もシンを受け入れているというのに、きつくシンを締め付けてきた。
「く、ぅんっ・・・・」
「ね、どう？」
奥の奥まで含ませたまま、シンは、腕に抱いた人に囁いた。
胸に、ぴったりと触れた滑らかな背中。張り詰めた背筋の上に、甘い汗が乗って、シンをとろかせる。
匂い立つような首筋、自分が咲かせた華の上に、また、きつく吸い付いて。
「ぁ・・・言った・・・ろ、もっと、だ」
濡れた瞳が間近で震え、無理な姿勢で伸ばされた腕が、シンの頭を引き寄せる。
蕩けるような、キス。
「ん・・・ン、あ・・・・・」
ゆっくりと中で動き出したシンに、アスランはたまらず唇を離した。
溜まった唾液を飲み込みそこね、喘ぎと一緒に、シーツの上へこぼしてしまい。
しかし、すぐにその上に突っ伏して、アスランは快感にむせび泣いた。
シンは、アスランのイイところを、全部憶えてくれている。
悦ぶやり方を、全部、知っている。
「あ・・・あ、あぁ・・・・」
はじめはゆっくり、絡みつく内壁をかきまわして。
それから激しく、感じるところを突いていく。
「アスランさん、もっと？いい？」
「んっ・・・ぁ、いぃ・・・」
応えると、背中でふわりと笑う気配がして。
抱きしめてくる腕が、もっと強くなって。
耳元に、熱い唇が触れて。
「アスランさん、大好き・・・・」
シンは、まるで、宝物のように。
大切にたいせつに、アスランを、愛してくれた。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
デジタルの光が明滅して。
ぱちり、と、時を戻して。
日付が、変わる。
「誕生日、おめでとうございます」
「もう嬉しいトシでもないけどな」
「何ジジムサイこと言ってんですか・・・」
やさしく抱き合う。
触れ合う、体温。
このぬくもりが、何よりのプレゼント。