プレゼント・・・？
シンの恋人は、年上だけど、ひどくウブな人だった。
MSに乗れば誰より強いし、殴り合ってもやっぱり強いし、いつも小難しい顔をして、ぐだぐだと小言を言うけれど。
それでも、キスしただけで真っ赤になるし、抱きしめただけで慌てるし。
そんな、可愛い恋人なのだ。
だから。
シンは心に決めた。
今日が、勝負なのだ。
「アスランさん、今日、俺誕生日なんです」
格納庫で、また何かごそごそとやっている人を捕まえて、シンはそう切り出した。
「そうか、おめでとう。１７になったのか？」
「はいっ」
ぐりぐりと頭を撫でられて、嬉しいような悔しいような気分を味わう。
ちっくしょ、今日、もう俺あんたと一つしか違わないのに。
でも、そんな言葉は飲み込んで。
「プレゼント、くださいよ」
ドキドキしながら、そうねだれば。
「そう急に言われてもな・・・ハロでも作ってやろうか」
相変わらず、見当違いの返事が返る。
あーもう、この人は。
しかし、そんなことはとうにわかっていたので、シンは彼の腕を掴んで、言った。
「俺、あんたが欲しいんです。くれませんか？」
「・・・・？」
アスランは、思い切りクエスチョンマークを浮かべて首を傾げ、焦れたシンはその耳元に唇を寄せて、小さく、しかし、はっきりと。
「あなたを、抱かせてください」
その言葉に、アスランはたっぷり５秒ほど呆けてから、一息に頬を赤くした。
「え・・・・あ・・・シン、それは・・・・」
「くれませんか？」
口元を押さえ、もごもごと何か言っている人に、更に言い募る。
そう、相手はこの、どーしてもウブでオクテな人だから、こんなチャンスでもない限り、きっと先へは進めない。
「いや、その、シン。俺は、男、なんだが・・・・」
「そんなこと知ってますよ」
自分の気持ちに気づいたときには、シンだってそれはびっくりしたものだ。
シンより強い、年上の人。
それでも、気持ちは変わらなくて。
むしろ、どんどん好きになって。
それを伝え、受け入れてもらった時も・・・確か同じこと言ったよな、この人は！？
進歩のなさに涙が出そうだ。
「それでも、俺、あんたが欲しいんです！」
「いや、でも。その、だ、抱いて、も。面白く、ないと思うんだが・・・・」
「そんなのしてみなきゃわかんないだろ」
終いには、衿首引っつかんで凄んでしまう。
いつもの些細な喧嘩でここまでやると、たいてい殴り飛ばされてしまうのだが、今日は、拳は飛んでこなかった。
その代わり。
「いや、だから。そんなの、してみなくてもわかるだろう。男だぞ？体固いし、その、綺麗でも、ないし・・・・」
そんなふうに、往生際悪く言っては、自分の言葉にまた赤くなってしまった人に、シンはもう一押し。
「でも俺、あんたに欲情します！」
大きく見開かれた翠の瞳は、雄弁に『信じられない』と言っていた。
それを覗き込んで、最後のお願い。
「あんたを、俺にください。オネガイシマス」
取ってつけたように下手に出たシンに、アスランは。
「がっかりしても、知らないからな」
そう、泣きそうな目をして言ったのだった。
自分を落ち着かせる手段といったら、機械いじりに限る。
あちこちからかき集めたパーツを、馴染んだ手順で組み上げながら、アスランは混乱する頭を、どうにか整理しようとしていた。
だって、『抱かせてください』って。
『好きだから、付き合って欲しい』と言われた時だって、初めは何の冗談かと思ったのだ。
からかわれているのだと思い、そうでないと知らされて混乱し、しかし何とか消化したと思ったら・・・・この事態だ。
でも。
そうか、でも。
『プレゼント、くださいよ』、そうねだった彼の、真剣な瞳。
１７の、誕生日に。
欲しいものが、あるのなら。
それを、自分があげられるのなら。
そう思って、部品を押さえていた指を離し、その手から腕、腹の辺りまでを眺め回した。
どちらかといえば細い方だが、一生懸命に鍛えた、自分の体。
「俺、男なんだがな・・・・」
呟きが力ないのは、あんなに自分を欲しいと言った、シンを失望させるのが、かわいそうだと思うから。
せっかくの誕生日なのに。
だからせめて、と、アスランはまだ部品の塊に過ぎないものに、向き直る。
彼が来ると言っていた時間には、まだ、少し間があった。
心臓が飛び出しそうで、夕飯なんか喉を通らなかった。
今、敵襲があったら、落とされそうだと本気で思う。
それでも、シンはアスランに告げた時間ぴったりに、部屋の前に立っていた。
一度、大きく深呼吸して。
よし。
「アスランさーん」
飛び込んだ部屋の主は、いつもどおり机に向かい、機械の塊をいじっていて、シンは少しがっかりした。
いや、この人がバスローブかなんかで待っていたら、その方がびっくりするけれど。
何かの部品にかじりついたままで、「そこ座れ」はないだろう。
あれ、でも。
でも・・・あれ？
「アスランさん、顔、赤い」
「・・・誰のせいだ」
呟いた声に、滲む照れ。
うわヤバイ、この人可愛い。
「あ、いい匂い！シャワー浴びて待っててくれたんだ！？」
「待ってたわけじゃない！」
髪も肌も、洗い立てのいい匂いなのに、指先にだけ、機械油の匂いをまとわり付かせて。
うん、俺。
この人のこんなとこ、大好き。
「アスランさん、プレゼント、ください」
だから、この人、欲しい。
「失望しても・・・・知らないからな」
「しませんよ、大好きです」
一瞬戸惑ったような目を見せたアスランは、しかし、シンへと腕を伸ばしてくれて。
ぎゅっと抱き合って、キスをして。
そうしてシンは、半ば引きずるように、恋人をベッドへと連れて行ったのだった。
シャワーを浴びていたくせに、きちんと着込んでいた軍服を脱がせると、その体のうつくしさに、シンはもの凄くドキドキした。
なんてキレイなんだろうって、思った。
「あんまり見るな・・・・そうだ、お前も脱げ」
一人だけ脱がされて気を悪くしたらしいアスランが、シンの軍服を剥ぎにかかる。
「いえ自分で・・って」
それを止めかけて、やっぱりやめて。
シンは、アスランの長い指が自分の服の留め金を外し、布地をめくり。するすると脱がせていくさまを、笑いをかみ殺しながら愉しんだ。
だって、こんな機会めったにない。
アスランに、服を脱がせてもらえるなんて。
もうこれだけでも立派にプレゼントだと思いながら、でも、シンが欲しいのはそれ以上。
「って、お前・・・・」
ベルトを外し、スラックスを下げかけたアスランの手が、止まった。
息を飲むのが、気配でわかる。
そんな様子を可愛らしく思いながら、シンは空に浮いていたアスランの手を取って、その指先にキスをした。
「言っただろ、俺、あんたに欲情するって」
シンのものは、アスランの匂いや仕草に触発されて、すっかり大きくなっていた。
「え、あ・・・・」
ふるふる震える長い指。
いっそ、かわいそうなほどうろたえたアスランの、その怯えたような瞳を見て、シンはなんだか不安になってきた。
「あの、アスランさん、もしかして、あんた本気で嫌ですか？」
曲がりなりにも恋人なのだ。鈍感ゆえの困惑はあっても、本気で嫌がられるとは思っていなかった。
それでも、もし本気で嫌なら。
嫌なら・・・・
でも、欲しかったプレゼントは目の前。
あうあうと、シンもうろたえて、上目づかいにアスランの様子を伺う。
「い、や。嫌じゃない。嫌じゃ、ないんだが・・・・」
アスランは、それだけはきっぱりと否定して、シンを真似たかのような上目づかいで少年を覗き込んだ。
「でも、あのな、俺、男だぞ」
話が、もの凄く元に戻ってしまった。
「その、抱いて、も、気持ちよく、ないぞ？」
ベッドの上、裸身をさらしてそう言って、体を縮めるきれいな人。
もう怒っていいのか笑っていいのか喜んでいいのかわからない。
「大丈夫です。気持ちいいです！」
そう言い切って、シンはアスランの肩をド突き、その上に圧し掛かった。
「てか、気持ちよくしてあげます」
「は？？え、あ、シンっ・・・！」
手始めに、思い切り深くキスをした。
舌を絡めるディープキスは、まだ何回かしか、したことがない。
熱い口腔、溢れる唾液、ぬめる舌が、逃げようとするのを追うのは楽しくて。
「ほんと、あんた、自分のことわかってない」
たっぷりと濡れた唇を離し、ぼやきと共に胸に手を這わせる。
アスランの、洗いたての肌。
しなやかな筋肉に、滑らかな皮膚が乗って、最高の手触りをシンに返す。
すごい、気持ちいい肌。
「お前・・・楽しいか？それ」
アスランの声は、上ずっている。
それに、思い切り頷いた。
「はい。すっげ楽しいです」
そのとき見せた、シンの満面の笑顔。
それは、本当にほんとうに嬉しそうで。
楽しそうで。
だからアスランは、いろいろと、諦めることに決めた。
シンのすることに、驚くことは多いけれど。
困ることも多いけれど。
自分が、この少年を大切に思っていることは確かなのだし。
それに今、アスランはシンの誕生日プレゼントなのだから。
喜んでもらえたら、それでいいか。
大好きな人を組み敷いて、その肌に触れる楽しさに、シンはもう夢中になった。
「アスランさん、肌、すごいキレイ・・・」
それでも、あちこちに残る傷跡。
傷を消す技術など、今はどんな軍医でも持っている。それを消さないこの人の、その胸の内を想う。
・・・・ただ単に、気にしてないだけかも知れないけど。
「っあ、やっ・・・！」
うなだれたままのアスラン自身に触れると、シーツを掴んだ指に力がこもった。
きゅっと噛み締められた唇。
それが、少しかわいそうになって、キスで、離させてやって。
「アスランさんも、気持ちよくなってよ」
「・・・って、お前・・・・・」
相変わらず戸惑ったようなその人に、考える隙を与えないように。
シンは深く屈み込んで、指で育てたものをぱくりとくわえ込んだ。
「っあ・・っ」
艶やかな声。それに、煽られて。
「んっ、んっ・・・んぐ」
一生懸命舌を絡めて、たまに吸ってきたり、歯を当ててみたり。
苦しくなってくると、いったん離して、舌だけでたどってみたり。
シンだって、こんなことをするのは初めてだ。
反応を見て、いろいろ研究しながら、アスランに一番イイやり方を、探していく。
「んっ、あっ、もう、やめ・・・・」
髪を掴まれて、ぐいぐいと引かれて。
舌で触れたものが、びくびくと震えて。
あ、イくな、と。なんとなくわかった。
だから、緩く咥えて。
感じるらしい、先端を、ちゅっ、と吸って。
「んっ、や、は、なっ・・・・」
離せ、と、最後まで言えずに放たれたものを、こくんと飲み干してみた。
「・・・・この、ばかやろ・・・・・」
半泣きのアスランが可愛い。
凄い可愛い。
抱きたい。
「あんた、バカバカ言わないでください・・・・もっとバカなことしますよ」
「え、あ、こら・・・っ」
両腿を掴んで引き上げる。
そのあまりの手触りの良さに、思わずはくんと食いついてみた。
おいしい。
「やっ、め、うン・・・」
しかもどうやら、食いついた内腿は、アスランの感じる場所だったらしく、ひくんと震えて弱い声を上げるから。
シンは、楽しくなって、そこにイタズラを繰り返した。
そうして、こっそり。
脱がされかけたスラックスのポケットに手を突っ込み、用意してあったものを引っ張り出す。
そうして、その蓋を片手でなんとか開け、中身をとろりと指に絡めた。
「うゎ・・・何！？」
「嫌、かな。やっぱり」
いきなり、信じられない場所に冷たいものが触れて、アスランはびくんと体を強張らせる。
「ジェルです。だって、アスランさん初めてだし」
実は俺もなんだけど、と思ったけれど、男のプライドがあるので、とりあえず黙っておく。
言わない方がいいことも、あるだろう。
「大丈夫ですから、ほら」
さっきまで舐めていた脚を押し上げて、そこが良く見えるようにして。
シンは更にジェルを足して、自分を受け入れて欲しい、そこに塗りつけた。
「って、シン、汚い！」
「汚くないですって。・・・うわ、暴れないでくださいよっ」
アスランが暴れた拍子に指が滑って、つぷ、と指先が入ってしまった。
まだ、そこまでするつもりのなかったシンは慌てたけれど、アスランは、もっと慌てた。
「あっ、やんっ・・・」
そうして、色づく唇から洩れた声に、双方、耳を疑う。
「・・・すっげ、イイ声」
「イイ、じゃな・・・っあ、んっ」
そのまましてしまって問題ないと踏んだシンは、入りかけた指をそのまま押し込んでしまった。
アスランの腰が、跳ねる。
初めて触れた彼の中は、熱くてきつくて、ジェルのせいで滑って気持ちよくて。
今すぐにでも突っ込みたい。
でも、と、頑張って我慢したシンは、その指をそっと動かした。
「くっ、・・あっ・・・や・・・あ」
首をばさばさと振ったアスランは、しかしシーツを掴み、観念したようにされるがままになっている。
伏せられた目元に、光る涙。
その様子が、また、シンの欲を煽った。
指を増やすと、体が震える。
柔かくなってきたそこを、広げるように指を動かすと、小さく悲鳴が上がって、唇が噛み締められた。
「アスランさん、声、聞かせて」
脚を押さえていた手を離して、色を増した唇に触れると、涙で蕩けてしまったような、翠の瞳と目が合った。
指先に触れた唇から、熱い吐息が、洩れて。
体中を赤く染めた人は、かすれた声で、小さく呟いた。
「シ、ン・・・・」
自分の下で、喘いで泣いて。
シンの名前を、呼ぶ恋人。
その艶やかさに、シンの理性が、とうとう壊れて崩れて落ちた。
「ご・・・め。ちょっ・・・も・・・・」
意味不明の呟きを洩らしながら。
手間取りながら、脱げかけのスラックスから、自分のものを引きずり出す。
あてがったそこはぬるぬるとして、まだ、きつく窄まって。
それでも、アスランが大きく息を吐き出した瞬間、わずかに緩んだ隙をつき、それは深々と飲み込まれていった。
「っ、はっ、や、あああーーっ・・・・」
熱い。
凄い。
気持ちいい。
何、これ。
「アスランさんっ・・・！」
その名を叫ぶと同時に、シンはそのまま果ててしまった。
「っあ・・・・」
注ぎ込む快感は格別で、シンは腰を震わせながら、思い切りそれを楽しんだ。
でも、その後は。
ちょっと、気まずくて。
「えっと、あ、あの、大丈夫・・・？」
まだ固いうちに、無理やり突っ込んでしまったのだ。アスランにかかった負荷はどれほどだろう。
シンを受け入れたままのそこも、切れてはいないけれど、赤く染まって痛々しい。
「・・・・じょうぶ・・・・・」
やっと、というように洩れた声。それに安堵して。
それでも、入れただけでイってしまったのは、やっぱりかなり恥ずかしい。
しかも、シンのものはまだ彼の中。
もっと、もっとと、アスランを欲しがっていて。
どうしよう、いったん抜いた方がいいのかな。
でも、入れ直す方がツライかな。
てか、また入れさせてもらえるかな・・・？
ずくん、と、気持ちいい肉の合間で、シン自身が疼く。
あーもう、どうしよう。
このまま、めちゃくちゃヤっちまいたい・・・・
ぎゅっと歯を食いしばり、その衝動を何とかこらえていると、不意に、長い腕に背中を抱かれて、驚いた。
苦しげな吐息を吐くアスランが、目を伏せたまま、ぎゅうっとシンにしがみ付いて来て。
「え、あ、アスラン、さん・・・？」
そのまま抱き寄せられて、シンの首に、熱い吐息がかかる。
入ったままのものの位置が変わって、腰がひくりと跳ねる。
触れ合った肌の熱さに、くらくらしそうだ。
「・・・・だろ」
かすれた声、何て言った？
「今日は、俺・・・お前への、プレゼント、なんだろ」
体に、ヘンな力が入ってて。
触れた肌は、震えてて。
すり寄せられたほっぺた、涙の感触があって。
シンをくわえ込まされたそこは、まだ狭くて。
それなのに、アスランはそんなことを言って、シンの首に唇を押し当てた。
「それ、もっとしても、いいってこと？」
聞いた声は、恥ずかしいほどに上ずって。
心臓がどきどきして、下半身がずくずくして仕方がない。
「好きに、しろ・・・・」
甘やかな声に触発されて、少年はもう、止まらない。
「はいっ！」
恋人の体をきつく抱きしめ、シンはそのプレゼントを思う存分楽しんだ。
シンの腕の中のアスランは、見たこともないほど、綺麗で可愛くて艶やかで。
「っつ、あ、やっ、あんっ」
「すいません、また出しちゃった・・・まだ、いい？」
「・・・・ぁ・・・・・」
「あ、そっか。今度は一緒にイきましょうね」
「やっ、あっ、もぅ、シンっ・・・・」
「遠慮しないでください。ほら、気持ちよくなってきてるでしょう？」
「くっ、あ、ああっ！」
最高の、プレゼントだった。
結局、日付が変わったその後まで、シンに楽しまれてしまったアスランは、重い体を引きずって、彼の腕から抜け出した。
「あ・・・・・いいじゃないですか。もうしませんから、ここにいてくださいよ」
行っちゃやだ、と、駄々をこねるシンを制し、立ち上が・・・ろうとして失敗して、ベッドから、落ちる。
「いっ・・・」
ただでさえ、腰も節々も痛いというのに、落下の衝撃が加わって、アスランはその場でうずくまってしまった。
「何やってんですか・・・」
呆れたシンはベッドに引き上げてやろうとするけれど、アスランはそれを拒んで、ずるずると這って行こうとした。
「あ、シャワーとか浴びたいですか？だったら手伝います」
抱き起こそうとして首を振られ、シンは困った。
「どうしたんですか？」
「プレゼント・・・」
小さな声に、聞き耳を立てる。
「俺なんかじゃ、ダメだろうから。作ろうと思ったんだが・・・まだ、出来ていないんだ」
アスランは、乱れかかる髪をぐしゃりとかき上げて。
「ああ、もう日付変わってるじゃないか・・・すまない」
本当に、すまなそうに。
「何、作ってたんですか？」
「フレームが間に合わせだから、形が少しおかしいんだが・・・・一応、ハロを」
シンは驚いて、この部屋に来た時に、彼がいた机を眺めやった。
そこにあるのは、ただの機械の塊に見えるけど。
「ハロって、あの、ラクス・クラインが持ってる？」
それが、彼女の婚約者からの贈り物だと言うことは、世情に疎いシンでも知っている話だ。
そんなもの、俺にも、作ってくれるの？
「ああ、いや、だからフレームがなくて。もちろん手に入ったら作り直すし・・・」
相変わらずごちゃごちゃと言う人を、シンはぎゅうっと抱きしめた。
「シン・・・？」
「あんたで足りないわけ、ないじゃないですか・・・」
嬉しくて嬉しくて、もうおかしくなりそうだ。
「・・・そうか」
それを聞いたアスランは、ほっとしたように、笑って。
「でも、せっかく作ったんだ。いや、まだ作りかけなんだが。出来たらもらってくれ」
「もちろんです！あー、でもこんなにいっぱいもらって、俺、あんたの誕生日、どうしよう」
困り果てたシンに、アスランは何でもないことのように、笑って答えた。
「お前がいてくれれば、それでいいよ」
その言葉が、一番のプレゼントだと、絶対にわかってない人に。
シンは、思い切りの感謝を込めて、深い深いキスを、捧げたのだった。