この、手のひらを
白い指がシーツをつかみ、苦しげに震えて、更に白くなった。
「くっ・・・・ふ、ぅ・・・・・」
尖った肘がひくりと浮いて、シンのわき腹をかすめる。
「声、・・・・っ、聞かせて、くださいよ」
いっそう深く突き上げながら、噛み締められた唇に触れる。
「ぁ・・・・」
赤い唇から、洩れる喘ぎ。
ふ、と閉じられていた瞳が開いて、湖水のように濡れたまなざしがシンを捉えた。
ぞくり、と、背筋を駆け上る、強烈な欲望。
「んっ、く・・・・・」
すぐに伏せられてしまった翠玉を惜しみ、再び封じられた声を惜しみ。
シンは、震える瞼に唇に、キスの雨を降らせる。
シーツをつかんだままの指を、その上から握り締め、精一杯優しい声で。
「我慢しないで・・・気持ち、いいんでしょう？」
とたん、泣き濡れて、シンの支配を受け入れている場所が大きくうねる。
「・・・・・・っ！」
そこは雄弁に感じた快楽を示しているというのに、まったく、この人は。
「ここ、すごいですよ・・・・ほら、ここも」
抱えた片足を、際どいところまで撫で下ろし、繋がった場所から、立ち上がった象徴までをたどると、彼は大きくかぶりを振った。
「・・・っく・・・・・・」
きつく閉じられた眦から綺麗な雫があふれ、乱れた髪の中に消えていく。
シンにすべてを晒して、足を開いて突き上げられて、涙をこぼしてこんなにも感じているというのに、アスランはそのすべてを堪えきってしまっている。
シンには、それがとても悔しい。
「イかせてあげますから・・・こっちの手、放して」
シーツを握った手を無理やりに外し、自分の手を握らせる。
体はどこもかしこも熱くなっているのに、ここだけが、ひどく冷たかった。
「手、放したら、・・・・やめますからね」
そう言って、それを握りこんだ。
「くんっ、あ・・・・・」
びくんと跳ねた腰を押さえつけるように、激しくしごきたてる。
握り合った指に力がこもって、嗚咽に似た音が、切れ切れに喉から漏れる。
きつく寄せられた形良い眉と、感じまいと噛み締められた赤い唇と。
自分のそんな姿が、どんなに男の嗜虐心をそそるのか、彼はきっと、知らない。
「っ、っっ！」
イく瞬間さえ、そんな、苦しそうなカオをして。
体の中で、こんなにシンを喰い締めているというのに。
「んっ・・・・」
男の精を、こんなに注ぎ込まれているというのに。
「ああもう。こんなに締めるから、中で出しちゃったじゃないですか」
シンの体液のしたたるそこを更にえぐり立ててやると、さすがにうろたえた声が上がった。
「っ、シンっ！」
「だって、まだ足りないでしょう？我慢する余裕があるんですから」
ﾞもっと、気持ちよくしてあげます”
見開かれたエメラルドにそうささやく。
耐えられないほどの快楽を与えてやりたい。
力を失った手のひらを握りなおし、シンは再び噛み締められる前に、甘く濡れた唇をキスでふさぐ。
夢も幸福も、自分の命さえ我慢してしまう人だから。
せめて、快楽くらい欲しがってくれたらいいのに。
再び始まった律動に、いっそう高くなった淫猥な音に。
やはり、耐えてしまうアスランの手のひらが、それでも強く少年の指を握り返した意味を、シンは知らない。
アスランが欲しがり、そして、与えられているものを。