遠くから、皆の騒ぐ声がかすかに聞こえていた。

それよりも近い、互いの鼓動。

まだ、少し速いそれを愛おしみ、十兵衛はむき出しのままの白い背に口付けた。

「ん・・・ふ」

感じやすい背中へのやさしい愛撫に、わずかに身を震わせて。

花月は視界を覆う髪をかき上げ、十兵衛を振り返る。

明かりの消えた部屋の中、それでも際立つ逞しい体と端正な顔の輪郭。

遠くで、また、声が上がる。

「いいの？十兵衛」

「何がだ？」

深い声に、体の芯を刺激され。それでも花月は心持ち強い声を絞り出した。

「あっち、行かなくていいのかい？VOLTSのみんなで、パーティーやってるんだろう？」

君は新生VOLTSのヒトなんだから、と、シーツをかき寄せながら言う唇を、十兵衛は自分のそれで塞いだ。

「んっ・・・・ン」

髪に指を差し込まれ、逃げようもない深いキス。

舌がジン、と痺れて、頭の中まで霞みそうな。

思わず恋人の背にすがった花月の、滑らかな腕の感触。

治まりかけた熱が、くすぶり出す。

「貴様の誕生日に、俺に何処に行けと？」

互いの唾液に濡れた唇で、柔らかな耳を食みながらそう問う。

窓の向こうから差し込む薄明かりに、わずかに濡れて光る耳朶が淫靡だ。

「でも・・・っ、ふ・・・・」

再びベッドに縫いとめられ、腰を抱かれて体全部を十兵衛に向き直され、花月はそれ以上言い募ることを諦めた。

胸の頂に降りる唇｡

既に硬くしこっていたそれを、軽く齧られて声が上がる。

「っ、あ・・・」

腰から下がった大きな手のひらに、大きく脚を押し広げられ。

疼き始めた蕾に中に、硬い関節を持った指が侵入ってくる。

「じゅう、べえ・・・・」

「俺は、貴様が生まれてきたことに感謝する。・・・させてくれ、花月・・・」

頬にキス｡

瞼にも。

「う、ん・・・・」

蕾は熱に。

返事は、喘ぎに溶ける。

「ありがとう、十兵衛・・・」

遠くからの声は、もう聞こえない。

聞こえるのは、荒い吐息と互いの鼓動。

甘やかな喘ぎ。

それだけ。