hope!
自分よりも、高い身長。
太くて長い手足。
厚い胸。
シンにないものを、持っている人。
「・・・・だからと言ってな、シン。お前はまだ成長期なんだから、筋トレはほどほどにしないと関節や筋肉を傷めるだけだぞ」
トレーニングルームでせっせと汗を流していると、突然現われた上官に、したり顔で注意された。
シンは、むっとして言い返す。
「でも、筋力つけるのは悪いことじゃないでしょう？」
「・・・今のうちから過度に筋肉をつけると、背が伸びなくなるぞ」
「そんな、迷信じゃないですか」
言い返しながらも、シンの抵抗はいまいち弱い。
やっぱり『背が伸びない』は効くな、と思いながら、アスランはトレーニングマシンからシンの体を引っこ抜いた。
簡単にそんなことをされてしうまうと、少年が更に頑なになってしまうことに、残念ながら、アスランは気づいていない。
「何すんですか！もう１セットやろうと思ってたのに！」
「何セットやってたんだお前。腕痙攣してるじゃないか」
「俺の勝手でしょう！」
「いいから柔軟しろ柔軟！放っておくと本当に筋肉傷めるぞ！」
アスランは、シンの抵抗などものともせずに彼をマットの上へと放り出した。
「・・・・・・・ってやるから」
放り出されてしりもちをついたまま、赤い瞳を潤ませて、シンは何かを小さく唸った。
「何だ？言いたいことがあるならはっきりと言え」
それを、偉そうに見下ろしたアスランに。
「絶対！アンタよりでかくなってやるからな！！」
そう怒鳴って駆け出した少年は、しかし一瞬の後にはマットの上に沈められていた。
「だから！柔軟をしろと言っているだろう！」
そこで、何故シンが泣き出したのか。
そのとき、アスランにはさっぱりわからなかった。
うーうーと唸りながら圧し掛かってくる恋人を、抱き止めて、キスをして。
アスランは、執拗に胸や腹を撫でる手のひらに、それでもやっぱり感じていた。
「・・・っ、シン、どうしたんだ？」
彼が不機嫌なのは、けっこういつものことなので、アスランはあまり気にしないことにしている。
気にはしないのだが、聞かないともっと怒るので、聞いてやるくらいの気はアスランにだって使えるのだ。
「ムカつく・・・」
しかし、帰ってきたのはそんな返事。
何だ、せっかく聞いてやったのに。
むっとしたアスランは、そのままシンの手首を掴み取り、ぐいと身を起こして…・
シンの体をひっくり返してしまった。
体勢逆転。
その上に。
「あのな、その仏頂面で乗られる俺の身にもなってみろ！」
そう怒鳴られて、シンはキレた。
「それなら、そんなアンタに乗ってる俺の身にもなってくださいよ！」
「勝手に乗ってきて勝手なこと言うな！」
「勝手に、って・・・・」
しまった、言い過ぎたと思う間もなく、シンはくしゃりと顔を歪める。
真っ赤な瞳に涙が溜まる。
このシンの顔が、アスランはすごく。
すごくすごく、苦手だった。
「アンタがいいって言ったんだろ！それとも、俺とすんの嫌なんですか！」
「いや、そういう訳じゃ・・・」
「なら大人しくされてくださいよ！」
「・・・わかった、わかったから・・・・・」
自分の下で、じたじたもがくシンにためいきをつきながら、アスランは赤くなった頬にキスをして、それから腕を引いて起こしてやった。
まったくもって手間のかかる。
しかし、そんな態度も少年の気に障って、涙の溜まった仏頂面のまま、シンはぐいぐいとアスランの体を押し倒しなおした。
「・・・なんでアンタ、２年も早く生まれたんですか」
「どういう言いがかりだよそれは」
「だって、凄いムカつく」
自分よりも、高い身長。
太くて長い手足。
厚い胸。
シンだって、早くこんなふうになりたい。
いや、彼よりも。
アスランよりも。
「早く、アンタより大きくなりたい」
程よく隆起した二の腕にキスされながらそう言われて、アスランはそこで、初めて合点がいった。
「・・・・なんだ、だからか」
だから、一生懸命筋力トレーニングしたりとか、それから。
「でもな、牛乳の飲みすぎは脂肪の過剰摂取に繋がってそれで・・・・・」
「ちょっと黙って下さいよ」
また余計なことを言う唇に、またまた、キス。
「ん、ぅ・・・・」
アスランの口は、しゃべるよりも、キスのほうがシンにやさしい。
差し込んだ舌を甘噛みされて、お礼にいっぱい舌を絡めて、舐めてあげて。
シンの体を簡単に引きずり倒す腕が、シンの背に絡んで、甘く縋る。
ずっとこうだったらいいのに。
名残惜しく唇を離すと、シンよりも厚い胸が、大きく喘いでいて。
その先の、赤いところが尖っているのが、凄くすごく色っぽかったから、ちゅ、と、そこに吸い付いた。
「はっ・・・」
気持ち良さそうな、アスランの声と、また大きくうねる胸。
それと共に跳ね上がった膝が、くいくいとシンの腰を外から擦って、誘って。
「シ、ン・・・・・」
淫らに濡れた緑の瞳が、シンを見下ろして、瞬いた。
はやくしろよ、と、その視線で、強請られて。
こくりと生唾を飲んだ少年は、うっすらと腹筋の浮いた腹を舐め下ろし、そうして愛撫に感じて立ち上がっていたそれに、少しおいてから、キスをした。
それに触れるのは、まだ正直、躊躇いがある。
でもそれは、イヤとかそういうんじゃなくて。
アスランの、そんなところにまで欲情してしまう、自分がちょっと怖いから。
「あ・・・・・っ」
口に含んだとたんに腰が浮いて、喉を突かれそうになって慌てて引く。
咥えたままだったから、それが口の中で擦れて、アスランがまた、可愛く呻いた。
「ん、あ・・・・シン」
節の浮いた指で、きゅう、と髪を掴まれる。
引っ張られて痛い寸前の、一番気持ちのいい力。
「もぅ、そこ・・・・いいから」
しかも、そんなことを言われてしまい、シンは猛り立った自分を、強く強く自覚した。
でも、もう少し、ガマンしなきゃ。
アスランの長い指が、シンを挟んだ脚の奥、自分の秘所へと滑り込む。
慌てて追ったシンの指が、アスランの指で押し開かれた、肉のあわいへたどり着き。
ひくひくと、震えているそこへと触れて。
それからふいと指を離し、なんで？と問いかける緑の瞳ににっと笑うと、羨ましい太さと重さ、なのにとっても色っぽいのその腿を、ぎゅ、と掴んで割り広げた。
「お、い。こら・・・っ」
そうして、アスランの抗議が言葉になる前に、そこに顔を突っ込んで、ぺろりぺろりとそこを舐めた。
「ふ、ぁん！」
アスランの、一番弱いところ。
一番、感じる、ところ。
内腿の、柔らかな皮膚が頬に触れる。
張り詰めた筋肉、浮いた筋が時々当たって、それが余計に気持ちいい。
そのまま舌を挿し込んでいけば、熱い襞がそれを迎えて、それなのに入り口は、きゅう、きゅうと阻もうとして。
あんまりきつくするものだから、滑らかな脚をいっぱいに掴んでいた右手を離し、シンはその指を、締め付ける入り口に引っ掛けて、こじ込んだ。
「んっ、あっ、シ、ン、あ、あん！」
舌でも指でも感じてしまう、アスランのいやらしいそこを、でも、もっと感じさせてあげられるものがある。
だからシンは、やたらめったら締め付けるそこを、せっせとなだめて広げていった。
だって、そうしなきゃ入れてあげられないもの。
「ん、んっ、ふ、あ・・・・シン、シ、・・・もう、平気、だから」
まだちょっときついんじゃないかなぁ、と思いながらも、シンももうガマンできなくて。
口を離して、その腿に頬擦りしてから、アスランの腰を抱きなおした。
とたん、シン腰に絡みつく、淫らな脚。
興奮の汗に濡れた髪を掻いて、背中を抱いたしなやかな腕。
ああもう、俺よりずっと、でかいくせして。
なんでこの人、こんなに色っぽくて、いやらしいんだろう。
そんなことを思いながら。
その、色っぽさといやらしさに抗えない少年は、その身に深く、深く自分を沈めて。
「ふ、あ、ああ・・・・っ、ん、ふ・・・・っ」
その楔に悶えたアスランは、きゅうきゅうと呑んだシンを締め付けて、味わって、もっともっとと淫らに強請って。
「ああもう！なんでアンタはさあっ！」
なんだかもう、何にキレているのか自分でもわからなくなりながら、シンは衝動のままに、夢中になって腰を使った。
ぐちゃぐちゃと、いやらしくシンを飲み込むアスランは、ほんとうに気持ち良さそうで。
ぎゅうぎゅうと、シンにしがみ付いて。
ちょっと締め殺されそうだ、と思ったとたんに、中のほうでもっと締められて。
少年は、本当に気持ちよく、その中で果てていた。
シンよりも、高い身長。
太くて長い手足。
厚い胸。
「あと２年したら、俺もこのくらいにはなるかな？」
快楽の名残に身を任せて、くったりとベッドに横たわるその人の胸に指を這わせて、シンはそう呟いた。
このくらいはならないと困る。
もっともっと、ならないと、凄く困る。
「さあな。・・・・しかしそういえば、モンゴロイドはあまり身長は・・・・」
「ああもううるさいな！なんでそんなことばっか言うんですか！」
ブチ切れたシンに、なんだかくすりと笑ったアスランは、毛布を被ってくすくすと笑い続けた。
「なんで笑うんですか・・・」
むっつりとした少年は、毛布を上に引っ張ったせいで、現われてしまった白い脚に、自分の残滓を見て取って。
思わず。
「ねえ、この運動って、少しは筋肉付くと思います？」
「・・・・知るか」
答えは気に食わなかったけれど。
そう言って、毛布の下から睨んだアスランの、潤んだ瞳がなんだかとっても可愛かったので。
シンは、まあいいや、ということに、した。