本日のアスランさん
突然、顔面をべちんと叩かれて。ぐい、と力任せに押し返されて、シンは愛撫の手を止めさせられた。
「でっ・・・何すんですか！」
シンの恋人は、軍服を着てるとカッコイイけど、それを脱がせると、すごく・・・・ものすごく、綺麗な人だ。
細い骨格に、しなやかな筋肉が隅々までついていて、その上を、白い、滑らかな皮膚が覆っているから、見ても触っても気持ちいい。
でも。
この人は、歴戦の英雄でもあるので。
本気で拒否されると、シンにはまったく太刀打ちできない。
「いやその、な、シン」
素っ裸で年下の恋人に組み敷かれて、何やらもごもごと呟いているというのに、シンをぐいぐいと押し返す手は、少年には振り払えない強さだ。
「何なんですか！？」
ブチ切れたシンが噛み付くと、アスランは潤み始めた翠の瞳でシンを見上げて。
幾度か、それを瞬かせて。
「たまには、俺も、お前にしてやりたいんだが・・・・」
「！！」
突然の、思っても見なかった恋人の言葉に、シンはあんぐりと口を開けた。
だって。
だってアスランがしたいって！
それはやっぱり、俺をヤりたいってことだろ。
始めは勢いに任せて押し倒しちゃったけど、俺もアスランさんも男なんだから、どっちがヤったっていいわけで。
いや、アスランさんがヤりたいって言うんなら、俺だってイヤだってのは言えないけど！でも！
でもーーーっ！！
ぐるんぐるん。
自分の上で、パニックになったシンを、アスランはぼんやりと見上げて。
それから、ぐい、と力任せに恋人を押し退けて起き上がり。
そうして、呆然としたままの少年を、ばったりとその場に押し倒してしまった。
「いいよな」
「えっ、うわっ、はいっ！」
勢いで答えたシンは、自分が了承してしまったことに気がついて、更に慌てる。
「あっ、あのっ！でもっ！アスランさんっ！！」
「・・・・嫌か？」
そう言ったアスランは、本当に本当に悲しそうにうなだれてしまったので。
シンは、ぶんぶんと首を振ってしまった。
「いいえっ！お願いしますっ！！」
そうすれば、アスランはふわりと笑って。
やさしく、シンにキスしてくれた。
シンの肌は、どこか、ミルクのような匂いがする。
彼の首筋に唇を寄せ、触れるか触れないかのところで産毛の感触などを楽しみながら、アスランはそう思った。
新陳代謝が活発なのだろう。彼の肌は、濃い、匂いがする。
それは、決して嫌な匂いではなくて。
だからアスランは、そこに、舌を伸ばして。
「んっ・・・・」
ぺろり、と舐めると、シンがきゅっと首をすくめた。
ああ、俺も、この辺を弄られるとこうなるよな。
思ったアスランは、そのままそこに唇と舌を滑らせて、汗の味を愉しんだ。
つい、夢中になって吸い付くと、シンの顎に頬が触れて。
ごくり、と、シンが喉を鳴らしたのがわかったのが、妙に新鮮だった。
シンはズボンを穿いたままだったけれど、上半身は裸だったから、合わせた胸が、熱い。
ドキドキしているのがわかって、嬉しい。
でも。
俺も、シンにしてもらってる時はこうなんだろうかと思うと、何故だか少し、恥ずかしい。
「シン」
思わず名を呼ぶと、ぐい、と髪を掴まれた。
何をするんだと思ったけれど、それはアスランもよくする仕草だ。
アスランだって、何故そこで掴んでしまうのかはわからない。だから、怒らずに。
「シーン、捕まえられたら、何も出来ない」
「だって、アンタっ！」
顔を上げると、涙を浮かべた赤い瞳と目が合った。
言葉の後が続かない。
ただただ、アスランを睨む少年が可愛い。
可愛くて、仕方が無い。
だから。
ぺろり、と、わき腹を舐めて。
二の腕の内側に吸い付いて。
もう少し、シンをわたわたとさせてから、アスランは、シンのベルトをくつろげた。
くんっ、っと息を飲む気配。それでも、シンのものは既に、きゅうきゅうと下着を押し上げていて。
その可愛らしい様子に引かれるように、アスランは、その一生懸命主張しているものを、布の中から出してやった。
いつも、コレが出てくるときには、アスランはもう自分のことでいっぱいいっぱいで、よくよく観察することなどできなかった。
シンの、もの。
ああ、やっぱり俺のよりちょっと小さいかな。
ちょっとまだピンクで可愛いなぁ。
くすり、と、思わず洩れた笑みを覚られてしまったのだろう。
シンが、キャンキャン喚きたてた。
「何笑ってんですか！」
「いや・・・」
さすがにまずかった、と思いながらも、もごもごとそれはごまかして。
アスランはソレをするりと撫でると、刺激にぴくんと反応したものを、あーん、と口を開けて、くわえ込んだ。
「っ、わ・・・・」
ひくんひくんと、足と腹筋が震えるのがわかる。
そんなこと、いつもはゆっくり感じられないから、新鮮で、楽しい。
「ちょ・・・・っ、アンタっ・・・・！」
力ない指で、髪を掴まれた。
いつも、アスランを愛してくれる細くて強い指。
それが、心地良い力で、髪を引いて。
「んっ・・・・く」
思わず、アスランまで気持ちよくなってしまう。
ちゅうっと吸うと、ぷうっと膨れる。
この辺が限界かな、でもまだ咥えてられる。
根元を支えた指で、付け根や袋を撫で回す。自分の唾液と、シンの洩らし始めたものでべたべたとして、イヤラシイ気持ちが煽られた。
でも、それ以上に。
自分の下で、気持ちよくなっている体が、愛しくて。
胸がいっぱいに、なって。
咥えたままの唇から、思わずため息の欠片が、洩れて。
シンも、いつもこんな感じなのかな。
だったら、嬉しい。
「アスランさん、も・・・・・」
少年が、いつもより早く限界を訴える。
正気な分、いつもより頑張ったアスランは、頑張った甲斐があったと、また、笑う。
笑いながら、ソレを喉に付くほどに深く咥え込んで、口をいっぱいに使って、きゅうっと吸った。
「う、わ」
頭の上で、少年の声。口の中のものは、ぴくんぴくんと可愛く震えて。
このままだと、むせてしまうのは経験上わかっているから。
すぐに口をすぼめてずるりと引き出す。
紛うことなき『搾り出す』動きは、イきはじめた少年にはたまらない感覚で。
「っ、・・・アンタ、やっぱすげー・・・・」
ため息混じりにそう言われたアスランは、白濁に濡れた唇で、ニヤリと笑った。
「良かったか？」
「あんた、上手過ぎ」
「そうか」
そんなアスランが、格好良くて。
ぽうっと見ていたシンの目の前で、アスランはその赤い唇を開いて、ぺろり、と、自分の指を舐めた。
自分の吐き出したものと、アスランの唾液が混じって、長い指を伝って。
ものすごく、いやらしい眺めだ。
それでもシンは、アスランがその指を下に下ろした時には、くっと、身構えた。
だって、あれっていつも俺がやってることだ。
濡らした指で、入り口濡らして。
それで。
「んっ、ふ・・・・・」
しかし、予想していた感触は来なくて。
代わりに、アスランが艶かしい声を上げた。
「えっ、わっ、あのっ、アスランさんっ・・・！」
シンは慌てて起き上がろうとするけれど、押さえ込んだアスランの、強い力がそれを許さない。
「お、前。大人しくしてろって・・・・」
「えっ、でもさ、あのさっ！」
シンの位置からはよく見えないけれど。
それでも、アスランが何をしているのかは、なんとなく、わかる。
だって、アスランのこの表情。
眉根を寄せて、少しだけ、唇開いて。
辛いのと、気持ち良いのと、たぶん、その間くらいで、喘いで。
アスランさん、自分でそれ・・・・っ！
「アんっ！こらっ、だから、動くな、って・・・・」
シンがじたじたしたせいで、予想外のところに当たってしまったのだろう。
大きく喘いだアスランは、シンの上で身をくねらせて、非難の眼差しを少年に向けた。
「だって、アスランさん、するって・・・・」
「そう、言ってるだろ、っ」
そうしてアスランは、ふるりと身を震わせて。
「だから、大人しくしてろよ・・・・」
さっき吐き出したばかりだというのに、アスランの不意の痴態のせいで、うっかり大きくなってしまったものに、指を添えた。
その指がまた、やさしくて、気持ち良かったものだから。
それはすっかり、準備OKになってしまって。
アスランはそれを確認し、にこりと実に嬉しそうに笑うと、ひくひく震えるその先端を、ねっとりと濡れたそこにあてがって。
シンが、その心地よさを感じる間もあればこそ。自分の中に、それをぎゅうっと押し込んだ。
「あっ、あ・・・・」
「うっわ」
きつい入り口を潜り抜ければ、熱い襞が、シンを迎えて絡みつく。
しかも。
いつもなら、すぐに、たっぷり奥まで含ませてしまうところなのに、アスランは途中まで侵入ったそれを、中途半端な場所で締め付けている。
「ア、スランさん、ちょっ、それっ」
キビシイんですけど！
「待っ、てよ。あ・・・・」
どうも座りが悪かったらしく、じりじりと半端な位置で腰を揺すっていたアスランは、それでもシンが何とかしようと動き出す前に、良い位置を見つけ出したらしく。
「んん・・・・っ！」
「っく！」
ずるり、とシンのものを根元まで飲み込んで、腰の上に、ぺたりと尻を付ける格好で。
はあ、と息を吐いたアスランを、シンは呆然と見上げてしまう。
だってだって。
だって、アスランが「する」って、こんなことしてくれるだなんて思わなかったし！
「ん・・・・ちょっ、と、待て・・・」
そんなシンのプチパニックになどかまわずに、アスランは一呼吸ごとにシンを締め付けながら、ふるふると腰を震わせている。
馴染むの、待ってるんだ。
アスランはいつも、挿れた後、少し待つようにシンに言うから。
でもシンは、いつも、耐え切れなくなって・・・・
「こ、らっ！んぁっ！！」
汗に光る胸を喘がせて、自分の上に乗るその人の、イヤラシイ眺めに耐え切れなくなったシンは、思わずその場で腰を突き上げてしまう。
「や、めっ、今日は、俺が・・・」
それに負けじとアスランが、不意に腰を揺すりだす。
シン以前にも、どうやら豊富な経験のあったらしい彼は、動くとなれば、躊躇いはなくて。
「うわ！アンタ！や、べ・・・・って！！
突き上げた中と入り口で、きゅうっっと絞られて、そのままずるりと引き出され。
すぐさま、また深く深く、奥の奥まで含まれて。
「アンタ、どんだけ俺搾る気ですかっ！！」
「どんだ、け、って・・・・」
はぁはぁと、荒い息とともに、シンの胸に、唾液をこぼして。
ちらり、と、恋人を見下ろしたアスランは。
「全部、に、決まってるだろ・・・っ」
そう宣言すると、その赤い唇に、濡れた翠色の瞳に、それはそれは艶っぽい笑みを浮かべて。
そうして、その言葉のとおりに、シンのモノを搾りだした。
「あ・・・アンタって人はーーーー！！」
少年の叫びは、部屋の防音も突き破り、しっかりはっきり、廊下まで聞こえていた。
数時間後。
「どうだった？」
聞かれても、答えにならない。
しっかりたっぷり『搾り取られて』しまったシンは、ぐったりとシーツに突っ伏して、年上の恋人の凄さを、改めて認識させられていたという。