花月を、女のようだという者がいる。

何を見ているのかと思う。

確かに、十兵衛も初めて会ったときには間違えたものだったが。

普段の彼は、ただ女性的な容姿と物腰を持っただけの、強い男だ。

普段の、彼は。

 

「はんっ・・・・」

膨らみのない胸に、爪を引っ掛ける。

今夜、初めて触れるというのに、そこはもう赤く立ち上がり、十兵衛の愛撫を待っていた。

「じゅうべえ・・・はやく・・・・」

「急ぐな」

「やだ・・・」

女のような花月、というのは、ここにしか存在しない。

十兵衛に組み敷かれ、十兵衛を欲しがり。

女のように、喘ぐ花月。

「あまり、わがままを言うな」

「やっ、あぁ・・・・」

下腹に指を滑らせ、欲しがっている場所だけを巧みに避けて、優しく撫でさする。もどかしさに、高く曝された喉に喰らいつき、声にならない喘ぎを直接感じ取る。

戯れに歯を立てれば、命の危険に快楽の悲鳴が洩れた。

「・・・・っ！だ、め・・・じゅう、ぁ・・・・・」

この綺麗な喉も肩も腕も脚も。すべてが自分のものだと思うとぞくぞくする。

喉から口を離し、泣き声を上げる唇をふさぐ。

十兵衛の背に回された腕に力がこもって、抱きしめた肩がふるふると震えだすのを見計らって、離した。

まだ、直接的な刺激は何一つ与えていないのに、こんなにも感じている、淫らな体がいとおしい。

「どちらがいい？」

選ばせるのは、花月の�£j��を壊すため。

そして花月は、十兵衛の望みどおりの答えを紡ぐ。

「うしろ・・・・十兵衛が、欲しい・・・・・」

「わかった」

もどかしさに、力の入らなくなった膝に口付け、体を返す。

上げさせた腰に自分の雄をすり付け、髪をかき上げてうなじに唇を埋めながら、二本、揃えた指を、喘ぐ唇に咥えさせる。

嫌がって噛み付いてくるのにもかまわず、舌を弄って溢れる唾液をすくい取り、やっとその唇を開放すると、花月が濡れた瞳で睨むように見上げてきた。

「んっ・・・ね、いいよ、慣らさなくて・・・・だからはやく・・・」

「濡れないんだ、仕方がないだろう」

「ばかじゅうべ・・・っ、あんっ」

揃えた指を、揃えたままで、狭い場所をこじ開ける。

「あ・・・あ、あぁ・・・・」

慣らさなくていいと言った口が閉じないままに、慣らす行為に喘ぎをこぼす。

熱い襞は、指を奥へ奥へと誘ったが、十兵衛は入り口をなだめることだけに腐心した。

「じゅうべ・・・じゅうべぇ・・・・」

シーツにしがみついた花月が、ただ、自分の名だけを呼ぶ。

その快楽。

「そう強請らずとも、ちゃんとやる」

自分をそこに押し付けて。わななく体を、抱きしめて。

「俺は、お前のために存在する(いる)のだから」

「あああああああっ・・・・・・・」

熱い、花月のなか。

十兵衛を呑み込み、蹂躙されて喜ぶ、�￥裸�。

「あっ・・・あ・・・・あぁ・・・・・じゅう、べ・・・・」

淫らに腰を揺らめかせ、精一杯男を感じるさま。

「いいか？」

「うん・・・・ン、いい・・・じゅうべえ・・・ぇ」

触ってやらなくても、達けるのは知っている。

後ろの刺激だけで、ひんひん泣きながらイク花月が可愛いことも。

しかし、十兵衛は優しく手のひらで前を包み込んでやった。

「・・・・っあ！」

一瞬硬直した襞が、きつく十兵衛を喰い締めるのをやり過ごす。

そして、花月の快楽のために、十兵衛は動き出した。

「あ・・・あ・・・あンっ・・・ぁ・・・・」

 

自分よりも、自分の体を知っている男に開かれて、花月の�￥裸�は咲き誇る。

 

それを知っているのは、この世でたったひとり。

花月の筧。

 

筧十兵衛、だだひとりなのだ。