大好きっていうこと
会いたいと思う。
会ったら、触りたいと思う。
触ったら、キスしたいと思う。
キスしたら、その、やっぱり抱きたいと、思う。
でもやっぱりそれよりも、とにかくとにかく、会いたいと思う。
大好きな、アスランさんに。
「お前、よくこんなの抱きたいと思うな」
押し掛けられて、抱きつかれてキスされて。
遠慮会釈のないキスに、ちょっとぼんやりしていた隙に押し倒されて。
アスランは、シャツを剥がされた自分の胸に、ふごふごと吸い付いているシンの黒い頭を見下ろした。
ハゲとかあったらおもしろいのに、と思うその髪は、時々不意にアスランの顎をくすぐり、胸に与えられる愛撫と共に、官能のさざ波を揺り起こしていた。
「抱きたいですよ。すっごく」
顔を上げたシンはどうやら本気のようで、すぐにアスランのベルトのバックルに手を伸ばす。
「おい・・・」
「いいじゃないですか」
ベルトを引き抜き、床に放り捨てて。
シンはアスランを見下ろして、紅い瞳を瞬かせた。
「それとも何か、希望あります？今なら俺、聞けるかも」
突っ走り出すと、制御の利かない自分をよく理解しているその言葉に、ひとつ、ため息をついて。
「・・・とりあえず、ベッドに行きたい」
ぼやいたアスランの一言に、シンは慌てて恋人にのめり込みそうになっていた体を起こした。
「え、あ、っと。すいません」
それからまた、屈み込んで。
そのまま抱き上げられそうになり、そのあまりのバランスの悪さに、アスランは転がってシンの腕から逃れた。
「危ないだろ」
そうしてむっくり起き上がり、ベルトのなくなったウエストを引き上げつつ、のたりのたりとベッドへと向かう。
「危ないってなんですか！」
「自分よりでかい相手を担ごうとするなよ。慣れてないと危ないぞ」
「じゃあいっぺんやらせてくださいよ！やったことなきゃ慣れないだろ！」
「危ないから嫌だ」
「なんでですか！」
言い合いながらベッドに着くと、アスランはそこにぽふんと座った。
はだけた胸には、シンのつけた跡と、大きな裂傷跡。
傷のすぐ上の乳首は、シンが吸ったせいで、赤い色をして起っている。
ぞくぞくと、シンの背筋を緩やかな衝動が伝い上る。
あれ、俺のにしたい。
俺のだ。
俺の。
「アスランさんっ！」
「うわ馬鹿、サカるな！」
飛びついて、蹴られてそれでもしがみついて、シンは急いでアスランのズボンを引きずり下ろした。
現れた下着の下が、ほんの少しだけ反応してくれている。
それを喜んだらいいのか、悔しがったらいいのかわからないけれど。
でも、ココを押さえたら、わりとすぐ静かになることは、知っているから。
パンツもひっ掴んで下ろしてしまい、すぐさまそこに吸いついて。
「んっ・・・・」
押し殺していても聞こえてしまう、息を飲む声にも。
口の中いっぱいの、その人自身に血が巡っていく感触にも。
くしゃりくしゃりとシンの髪をかき混ぜる、指の心地よさにも、感じて。
「んーーー」
「おいこら、するんならお前そこでイくなよ！」
ひどく不名誉な過去を思い出させるアスランの言葉に、だいぶ感じて大きくなったものを吐き出しながら抗議した。
「もうそんなことしませんよ！」
「あやしいな、・・・・」
「しませんてば！ほら！！」
その場で全部脱ぎ捨てて、仁王立ちになってみれば、アスランが何故か頬を赤くして、目を逸らしながら小さく同意してくれた。
「・・・・ああ」
何なんだ。
「わかったら続き、いいですか！？」
「・・・・・・・・ああ」
なんだか歯切れが悪いけれど、そんなに悪い感じじゃない。それくらいは、シンだってわかる。
だから、足に引っかかっていたズボンとパンツをきれいに外して、今度は、アスランの脚を片方、胸に付くほど持ち上げた。
強靱な体は以外にしなやかで柔らかく、何の苦もなくシンの前にすべてをさらけ出して。
「ねぇ、ここ、直で舐めちゃっていい？」
「するな！」
怒鳴ったアスランは持ち上げられた踵でシンの頭を小突く。
ちぇ、と呟いたシンは、それでも自分の指に唾液を絡め、曝された狭間を押し開いた。
「ふ・・・・っ」
この瞬間、深く息をついて入れやすくしてくれる、アスランの仕草がなんだか嫌いだ。
慣れてるんだって。
そう言われてるみたいで、嫌いだ。
だからシンは、ぐいぐいと無遠慮に奥まで指を突っ込んで。
絡みつく襞を、これでもかとばかりにかき回して。
「・・・っ、こ、らっ、乱暴だぞ・・・・・っ」
「だってアンタ、こうするの好きじゃん。・・・ってさあ」
ふと下を見ると、そこはシンが口に含んでいたときよりも、ずっと硬くなっていた。
「咥えるよりかき回す方がいいわけ？」
「いいから、さっさと・・・・」
うっかり出した呆れた声に、もう一度、蹴られて。
「わかりましたよ・・・」
指を足して、ナカで開いたり、つつきまわしたり。
もういいかな、と思う頃合は、さすがのシンも、もう覚えた。
きゅうきゅうと締め付けていたそこが、ふ、と甘く蕩けるようになって。
甘く上がっていた声が、なんだか掠れて、上ずってきて。
緩やかに腰が揺れて、しなやかな脚が揺れて。
欲しい、って、思ってくれてるんだって、わかるから。
「アスランさん、入れていい？」
それでも一応確認してしまうのは、前に、何度も失敗して怒られたから。
「あ・・・あ」
だから、頷いたアスランが、する、と、シンの首に腕を回し、きゅ、と、しがみついてくれても、すぐに突っ走ったりはしない。
ここは、ちょっと我慢。
腰を抱いて、赤く染まった耳朶にキスをして。
心の中で、五つ数えてから、入れる。
一生懸命慣らしたそこは、く、といったんシンを拒むけれど、少し押し込めば、すぐにくくっと飲み込んでくれる。
その、狭さ滑らかさが、大好きで。
「アスラン、さ・・・・」
「は・・・・っ、あ」
きゅうっと、しがみついてくれる、腕の強さが、大好きで。
好きで、好きで、ほんとにもう、大好きで。
「アスランさん、アスランさんっ」
大好きな人が、腕の中にいるのが嬉しくて、自分が突いて気持ちよくなるたびに、腕の中の体がびくんと跳ねて、ナカがきゅうきゅう締めてくれるのが嬉しくて。
嬉しくて気持ちよくてしょうがなくて、でもすぐにイったりしたら、また呆れられるのがわかっているから、我慢して我慢して我慢して。
突いて突いて、突いて。
「あ、あ・・・・あ、は、っ、シ、ン・・・っ」
熱く火照った体が震えて、上擦った声も、ふるふる震えて。
ナカも、やっぱりびくびく震えて。
やばい我慢できない、と思ったところで、アスランの体が硬直した。
びゅくびゅくと、お腹のあたりに濡れる気配。
よかった。
とたん、シンもアスランの中に、いっぱいいっぱい吐き出して。
「はあぁぁぁぁぁ」
思わず漏れた満足の声に、体の下からくすくすと笑う気配がした。
「笑わないでくださいよ・・・・」
「いや」
不満げにアスランの顔をのぞき込んで、しかしシンは、赤い目を見開いて硬直してしまった。
興奮の余韻をありありと残して、妖艶な色香をたっぷりとまとって。
それなのに、子供みたいな顔で、笑うアスラン。
思わずその唇にむしゃぶりつくと、アスランの熱い舌が、ゆったりと応えてくれて。
それが気持ちよくて、気持ちよくて。
「シ、ン。お前・・・」
キスのほどけた唇で、アスランが呆れたように呟いた。
さっきイったばかりだというのに、シンのものはさっさと元気になって、ぐいぐいとアスランの中を押し開いているのだ。
「だって、しょうがないじゃないですか！アンタのこと大好きなんだから！」
もうすっかり開き直り、シンはそう宣言して、アスランの中で自分を揺すった。
「まったく、何で、お前、こんなのが・・・」
まだ何か呟いていたアスランも、気持ちのいいところばかり狙って動かれてしまい、すぐに喘ぐばかりになって。
だからシンも、また、大好きな人に、溺れて。
溺れて、融けて。
会いたいと思う。
会ったら、触りたいと思う。
触ったら、キスしたいと思う。
キスしたら、やっぱり、抱きたいと、思う。
でもやっぱりそれよりも、とにかくとにかく、会いたいと思う。
会わなきゃ何も始まらない。
この、鈍くて甘くて淫らで、大好きな人に。
大好きな、アスランさんに。